
あなたの梅雨時期の不調、実は「気象病」かも?
産婦人科医 高尾 先生に訊く
梅雨を快適に乗り切るためのヒント。
2026.05.28
- お悩み
気象庁によると、今年の梅雨時期は、顕著な少雨となった昨夏と比べると雨が多く、気温も全国的に「平年より高い」ことが予測されているとか。そこで、本格的な梅雨入りを迎えるにあたり、全国の働く女性1,000名を対象に「働く女性の『梅雨ダル』に関する実態調査」を実施しました! 本調査では、梅雨時期特有の気圧や湿度、気温の変化が引き起こす悩みやストレスの実態を明らかにしています。さらに、各メディアでお馴染みの産婦人科医・高尾美穂先生を迎えインタビューを実施。不調の背景や梅雨の時期を快適に乗り切るための医学的な具体策に加え、「自分を大切にして、どう心地よく生きるか」という、ジャケジョたちが現代を幸せに生き抜くためのヒントを、産婦人科医として多くの女性たちをサポートしてこられた高尾先生ならではの視点からじっくりと紐解いていただきます。
あなたは大丈夫?『梅雨ダル』をセルフチェックしてみよう!
「気象病」とは気圧・温度・湿度などの急激な天候変化によって引き起こされる、心身の不調の総称です。梅雨の時期に多くの人が感じる体調不良『梅雨ダル』も正式な病名ではないものの、気象病の一つ。具体的には、低気圧や湿度の高さ、気温の変化によって自律神経が乱れ、頭痛・片頭痛、むくみ、体の冷え(手首・腰など)、肩や首のこり、体のだるさ、倦怠感、朝起きるのが辛い、などの症状が現れます。
今回、高尾美穂先生のアドバイスに基づき、『梅雨ダル』チェックリストを作成しました。「梅雨ダル セルフチェック」で1つでも当てはまれば、『梅雨ダル』の可能性があります。4つ以上当てはまる場合は注意、6つ以上当てはまる場合は要注意! 適切なケアが必要です。

働く女性の約7割が感じている「梅雨時期の不調」メンタルへ深刻な影響も!
梅雨時期に「身体や心の不調を感じたことがある」かどうか質問したところ、働く女性の67.4% (「かなり感じる(20.6%)」「どちらかといえば感じる(46.8%)」の合計)が健康への影響を実感していることが明らかになりました。
さらに、具体的な症状について聞いてみたところ、「体のだるさ、倦怠感(45.2%)」、「頭痛・片頭痛(36.8%)」と身体的な不調を訴える人に加え、「やる気がでない(34.5%)」、「気分の落ち込み、憂鬱な気分(31.2%)」とメンタルヘルス面での不調を訴える人が多くみられました。


梅雨時期の不調は「疲れ」「気合不足」と誤解されがち?
『梅雨ダル』認知率は、なんと3割以下
梅雨の湿気や気温の変化によって引き起こされる『梅雨ダル』。この『梅雨ダル』という言葉について知っているか尋ねたところ、「知っている」と回答した人は全体の3割以下(27.0%)と少数派です。
一方、『梅雨ダル』という言葉自体を「知らない」と回答した人の、半数以上の女性が(730人中445人)が、梅雨時期に不調を感じているという結果に。『梅雨ダル』という言葉を知らずとも、不調を訴えている人が非常に多いことがうかがえます。
さらに、不調の原因については57.3%の女性が「低気圧や湿度」が原因であると認識していますが、「ただの疲れ(37.6%)」や「自分のやる気・気合の問題(33.7%)」だと捉えている人も少なからず存在しています。体調不良をメンタルや⼀時的な疲れだと思い込み、『梅雨ダル』を見過ごしている可能性も少なくありません。



「不調を感じながらも、梅雨ダル対策をしていない」が圧倒的多数
梅雨時期の不調に対して対策をしているかについて質問したところ、「体の不調」に関しては68.7%が、また「心の不調」に関しては76.0%が「対策を行っていない」と回答しました。多くの働く女性たちが梅雨時期の不調に悩まされつつも、実際に何をしたらよいのかわからず、不調をそのまま放置している現状が見えてきました。


梅雨の3大ストレスは服装の『蒸れ・冷え・汚れ』
梅雨時期の服装に関しても聞いてみました。梅雨の時期に選ぶ服装によって「その日の体調や気分」が変わると感じることがあると回答した人は、57.9%(「非常に感じる(13.2%)」「どちらかといえば感じる(44.7%)」の合計)にのぼりました。選んだ服装により体調や気分などが変わり、コンディションに大きな影響があることがわかりました。
また、「梅雨の外出の服装に関するストレス」についても聞いたところ、上位になったのが湿気に関することです。1位が「肌に張り付くベタつき感(湿度による不快感)(39.2%)」、2位が「生乾き臭や、湿気を含んだ服の重さ(36.9%)」という結果に。そのほか、「外は蒸し暑いのに室内(電車・オフィス)は寒い(35.5%)」といった屋内外での寒暖差や、「泥跳ねや水跳ねが気になる(34.8%)」、「雨ジミや汚れを気にして、着たい色・服が選べない(26.1%)」といった、気候を起因とする服の汚れに関してもストレスに感じている実態が明らかになりました。


梅雨の服装は「着心地」を重視!外出時は半数近くが「快適さ」を最優先
では、梅雨時期の気分やメンタルを調整するために、服装面ではどのようなことを意識しているのでしょうか。アンケートの結果、「ストレスを感じにくい着心地であること(38.1%)」を選んだ女性が最も多く、外出時の服装についても「快適さ(46.0%)」や「雨対策(35.7%)」、「機能性(33.6%)」を重視していました。梅雨時期の不調によって落ち込んでしまう気分を、服装によって調整するインサイトが明らかになり、服の「見た目」よりも「機能的な快適性」を求める声が主流となっているようです。


梅雨の服装選びは、速乾・通気・軽快が3大キーワード
「イージーケア」と「ストレス軽減」を重視
梅雨時期を快適に過ごすために、具体的にどのような服をチョイスしているのかも聞いてみました。「服装の機能や要素」で重視していることについては、「洗濯機で洗える(34.6%)」が1位、「通気性が良い(29.7%)」が2位、「吸汗速乾(25.0%)」が3位という結果に。
梅雨時期に着る服に求める機能性については、「速乾性(43.0%)」、「高通気性(38.1%)」、「軽快性(35.1%)」が上位となりました。梅雨時期の服装選びは、「お手入れのしやすさ」と、着用時のストレスを軽減する「高機能スペック」が必須となっているようです。


【特別インタビュー】産婦人科医 高尾 美穂先生が語る。
あなたが「ご機嫌」でいることは、大切な誰かを幸せにするためのアクション。
今回の調査で明らかになったのは、約7割もの女性が梅雨時期に不調を感じているという実態でした。とはいえ、不調を感じつつも対策をしていない人が圧倒的多数。梅雨時期の気圧・温度・湿度などの急激な天候変化によって引き起こされる不調を、多くの人が単なる「疲れ」や「気合不足」と誤解している可能性も見えてきました。
梅雨の湿気やムレは、単なる不快感ではなく、私たちの心身を確実にゆさぶります。高尾先生によれば、この時期に自分を「快適な状態」に整えることは、自分自身のためだけではなく、一緒に働く仲間、そして家族等の自分にとって大切な誰かに笑顔を届けることに繋がると言います。医学的なメカニズムを紐解きながら、現代を賢く、幸せに生き抜くための処方箋を紐解いていただきます!
では、改めて高尾美穂先生のご紹介を。

ジャケジョ研究所 特任研究員
高尾 美穂先生
愛知医科大学医学部卒、東京慈恵会医科大学大学院修了。 同大学附属病院産婦人科助教、東京労災病院女性総合外来などを経て、女性のための総合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。婦人科診察を通し、女性の健康を幅広くサポート。働く女性のための産業医として企業を支える傍ら、内閣府男女共同参画局、人事局などで教育講演を担当している。婦人科スポーツドクターとして日本スポーツ協会ではスポーツドクターの養成に携わるほか、ヨガ指導者を育成するセッションも積極的に行う。
【『梅雨ダル』の要因は、「むくみ」「光不足」「睡眠の質の低下」】
ー「気象病」や「梅雨ダル」により、なぜ心身の不調が起こりやすくなるのでしょうか。
梅雨時期の不調には複数の要因が絡み合っています。
まず1つ目は気圧の変化による「むくみ」です 。気圧が下がると体内の水分バランスが崩れやすくなります。脳の組織がむくめば頭痛の原因になりますし、三半規管の内側がむくめば、めまいや乗り物酔いのような気持ち悪さを引き起こします。腸がむくめば便秘やお腹の張りに繋がることもあります。
2つ目は「日照時間の短さ」です。太陽の光を浴びることは、私たちの24時間のリズムを整えるために不可欠ですが、梅雨時期にこのリズムが崩れると、メンタル面でやる気が出なかったり、うつに近い状態になりやすかったりするというリスクがあるのです。
3つ目は「睡眠の質の低下」です。この時期は快適な気温・湿度の調整が難しく、夜うまく眠れていないことが挙げられます。夜間にリカバリーが十分にできないことが、日中の倦怠感や集中力低下に直結します。
まずは自分がこういう状態だから不調なのだと理解して、少し安心してください。そしてそこから、『じゃあ何ができるか』という風に、解決に向けたアクションへ矢印を向けていくことが、次のステップとして望ましいですね 。
【気圧や日照の変化にゆらぐ梅雨時期に、「朝と夜」の整え方を知る】
ー「梅雨ダル セルフチェック」で、不調が多めに出た方へ具体的なアドバイスは?
まずは自分にできることから始めてみてください。例えば、お風呂にゆっくり入ってリラックスすることや、食事の工夫。キュウリやキウイ、スイカといったカリウムを含む「夏野菜」を意識的に摂ることで、体に溜まった余分な水分(むくみ)を出す手助けになります。
「日照時間が短いこと」への対策は、太陽が出たときは積極的に日光を浴びること。そして何より「体のリズム」を意識することが大切です。本来、私たちの体は目から入る光によって「今は朝だ」と認識し、体内時計を社会の時計に合わせています。でも、どんよりした曇天が続くと、脳が昼か夜か分からなくなってしまう。
だからこそ、昼間は少し心拍数を上げる運動をして体に「今は活動する時間だよ」と教え込み、逆に夜は心拍数を落としてリラックスする。自分の意思で直接コントロールできない自律神経やホルモンだからこそ、食事や運動、リラックスタイムといった「自分でコントロールできる行動」を通じて、脳に良いサインを送ってあげることが解決への近道になります。
「この環境だから体調がイマイチになる」と言って諦めるのではなく、良い状態を作れる自分なりの『アクション』を選んでみる。何かしらアクションを起こすということをぜひお勧めしたいですね。
【「気合」で乗り切る時代はもう終わり! 令和のテクノロジーを味方につける】
ー調査では、働く女性の約7割が不調に対して「特に対策をしていない」と回答しています。この結果をどうご覧になりますか?
非常に納得感のある数字です。生理痛が重かったり、生理前に不調を感じる症状を「月経随伴症状」といいますが、月経随伴症状にかなり困っているという人たちですら、実際に婦人科を受診するのは35%程度。残りの65%は自力でどうにかしようとしているのが現状です。
ただ、梅雨というのは物理的に「雨が降り、蒸し暑い」という状況が長く続く、哺乳類である私たち人間にとっては決して快適ではない時期。原因がはっきりしているからこそ、実は対策へのアクションも起こしやすいはず。今は令和の時代です。「気合で乗り切ろう」とする人はいまだに多いですが、自分の根性だけで解決しようとする必要はありません。
「何かいいモノないかな?」「誰かいいアイデアを持っていないかな?」と外に目を向けてみる。多くの英知が詰まった商品やサービスに頼ることは、決して甘えではありません。自分を助けてくれるツールを賢く選ぶことで、しんどい梅雨の時期もより軽やかに過ごせるようになるはずです。
いろんなものを「あり」にして、自分が快適に過ごすことは、自分のためであると同時に、周りの大切な人たちのためにもなります。
だからこそ、自分じゃない「誰か」や「何か」に頼ることも選択肢として大いにありじゃないかなって思います。
【「まあいいや」と流さない。自分の快適さを選ぶということ】
ー働く女性にとって大きなストレスである、梅雨の湿気や蒸れ。服装選びで意識すべきことは?
私が大切にしてほしいのは「心地よさ」です。幸せに働くためには、自分が快適であることが大前提。満員電車で蒸れを感じたり、雨で服が肌に張り付いたりする不快感は、実はパフォーマンスを大きく下げています。
今は技術が進歩して、撥水やストレッチ、防シワといった機能性の高いウェアが手軽に手に入ります。こうしたものを賢く使うのは、「令和の時代」を生きる知恵。さらに、汗をかいたらインナーを着替える、自分にとっての「一軍のタオル」を持ち歩いてこまめに肌を拭いたりするのも、快適さをキープして次の仕事へシャキッと向かうための素晴らしいアクションですよ。
【隙間時間にできる『梅雨ダル』撃退法!「自律神経を整える」ストレッチ】
ーデスクワークや移動中にできる、簡単なリフレッシュ法は?
ジャケットを着用したままでも、デスクや移動中にできる簡単なケアをご紹介します。

①肩の上げ下げ: 肩を耳に近づけるようにギュッと上げ、3〜4秒止めてから一気に脱力します。これを数回繰り返すことで、血流の滞りによる「こり」が和らぎます。

②呼吸ケア: 手の平を外側に向けながら、腕を外側にぐるっと回すだけで、自然と胸が広がります。胸が広がると1回の呼吸で吸い込める空気の量が増え、1分間の呼吸の回数が減ります。すると自律神経が「副交感神経優位(リラックス状態)」に切り替わり、心拍数が落ちて心がスッと楽になります。
【働く女性へのメッセージ】
―最後に、仕事や暮らしを担いながら毎日を送る「ジャケジョ」たちへメッセージをお願いします。
バリバリ働いている女性は、とても真面目で、何でも自分一人で解決しようとする傾向があります。しかし、すべてを自分ひとりの気合で乗り切ろうとする必要はありません。今は便利なテクノロジーやサービス、高機能な衣服があります。家事なら「今日はデリバリーに頼る」、仕事なら「便利な道具や高機能な服に頼る」。そうやって何かを手放したり、頼ったりすることを自分に許可してみてあげてください。
それは決して甘えではなく、自分らしくサステナブルに働き続けるための前向きな選択です。今って本当に「続けられること(サステナブル)」が大事。いろんなものを誰かに何かに手渡しながら、自分がやりたい一番大事な部分をちゃんと続けていくのがいいんじゃないでしょうか。そして、100点満点の幸せじゃなくてもいい、「今日はまあまあ幸せ」と思える日を増やしていく。そのために、自分が快適でいられる選択を諦めないでほしいなと思います。毎日が完璧な日ばかりではないという現実を受け入れた上で自分にできることを少しずつ試し、継続していくこと。そして、大きな成果を求めすぎず日々の小さな変化を肯定し、喜ぶ姿勢を持つことが大切です。
私は産婦人科医として、女性にその人らしい人生を幸せに生きてほしいと本気で思っています。女性が無理なく笑っている、やりたいことをやっている世の中は本当に大事で、その周りにいる人たちもきっと幸せになります。
自分がご機嫌でいられる選択をすることは、あなた自身の幸せだけでなく、あなたにとって大切な周囲の人たちにも間違いなく笑顔を届けることに繋がっていくはずですよ。
―高尾 美穂先生、ありがとうございました!
これから迎える梅雨に感じる不調『梅雨ダル』。体や心のコンディションが整わず、生活や仕事に影響が出てしまう原因は、怠惰でも疲れでもなく、気候の変化によるものだということがわかりました。というわけで、自分を責めるのは禁物! 高尾先生がおっしゃるように、今は令和の時代。仕事でもプライベートでも心地よく過ごせる機能性ウェアをチョイスしたり、食事を工夫してむくみを軽減したり、テクノロジーに頼ることも大切です。完璧でなくていい、「今日はまあまあ幸せ」と思える日を増やせるように、日々、自分が快適でいられるための選択をしていきましょう。