パターンオーダーとは?メリット・デメリット、注文方法、価格相場を解説

パターンオーダーとは?メリット・デメリット、注文方法、価格相場を解説

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オーダースーツが魅力的であると理解しているものの、実際はオーダーの仕方が良く分からず、価格も高いイメージがあることから、チャレンジするのを諦めている人も多いのではないでしょうか。しかし、パターンオーダーであれば、初心者でもリーズナブルな価格で、安心してオーダースーツを作ることが可能です。そこで本記事では、まだオーダー経験に馴染みがない方向けに、パターンオーダーのメリット・デメリットをはじめ、注文の仕方、価格相場など、オーダースーツについて分かりやすく解説します。

パターンオーダーとは?

スーツをオーダーする際、複数あるオーダー方法の中からどの方法を選択するかが、最初に悩むポイントです。オーダー方法は、型紙の作り方やオーダーできる範囲などの違いにより、パターンオーダー・イージーオーダー・フルオーダーの3種類に分けられます。その中でも、パターンオーダーはもっともリーズナブルなオーダー方法で、あらかじめオーダーサロン(店舗)が用意したスーツのモデルの中から、自分のサイズや好みに近いゲージ服(見本)を選択します。その上で、サイズを補正しながら仕立てるため、オーダーに関する知識や経験が少ない人には、おすすめのオーダー方法です。

「セミオーダー」「イージーオーダー」「フルオーダー」との違い

スーツのオーダー方法に関する用語には、パターンオーダーのほかにも「イージーオーダー」「セミオーダー」「フルオーダー」「カスタムオーダー」など、さまざまな呼び名があります。ただし、それぞれの違いが分かりにくいため、ここで簡単に説明していきます。

スーツのオーダー方法を大別すると、次の2つに分けられます。

・フルオーダー

お客さまの体型や好みに合わせて、すべてのパーツの型紙を一からつくり仕立てるタイプ

・セミオーダー

あらかじめオーダーサロンが用意している既存のモデルをお客さまの体型や好みに合わせて微調整し仕立てるタイプ

なお、フルオーダーという言葉は日本で広く使われていますが、英語圏では「カスタムメイド」「ビスポーク」「メイド・トゥ・オーダー」などが同じ意味で使われています。

さらに、セミオーダーは「パターンオーダー」「イージーオーダー」の2つに分類されます。どちらも、あらかじめ用意されたモデルのゲージ服を利用する点では同じです。しかし、イージーオーダーはパターンオーダーよりも補正範囲が広く、サイズ補正以外でショルダーラインをイカリ肩ぎみに修正するなど、体型補正も可能という点で異なります。

パターンオーダーのメリット

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パターンオーダーのメリットは、いくつかあるモデルのゲージ服の中から好みのモデルを選択し、サイズなどを微修正するというシンプルなオーダーシステムによって得られます。主に、以下の3点が挙げられます。

  • 1 オーダー方法の簡略化
  • 2 オーダー費用の抑制
  • 3 仕立て期間の短縮

それぞれのメリットについて、以下で具体的に説明していきます。

オーダー初心者でも簡単に注文できる

オーダーの知識や経験の少ない初心者にとっては、フルオーダーのように、ラペルの形状・肩パッド・ウエストシェイプ・ベントなど、細かなところまで指示するのは負担となります。しかし、パターンオーダーならば、選択したモデルのゲージ服を試着し、着丈や袖丈などの補正可能な箇所をチェック・補正するだけなので、オーダーはそれほど難しくありません。また、事前にゲージ服を試着し、鏡で自分の姿を確認しているため、オーダーするスーツの出来上がりがある程度予測できるところも、パターンオーダーのメリットです。

費用がリーズナブル

パターンオーダーの最大のメリットは、すでにあるモデルのパターン(型紙)を利用し、特定箇所のみ補正するシステムのため、ほかのオーダー方法よりも安価にオーダースーツを仕立てられることです。ジャケットとスラックスがセットとなった既製品のスーツでは、どちらかのサイズが大きすぎたり、着丈や袖丈などの長さが合わなかったりするケースもあります。そのようなとき、パターンオーダーを利用すると、自分の体によりフィットするスーツを仕立てられます。サイズの合わない既製品のスーツを購入し、我慢しながら着ていると、ストレスが溜まってしまい、いずれ着用しなくなるかもしれません。つまり、リーズナブルな価格でオーダーできるパターンオーダーのほうが、むしろコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。

仕上げが早い

フルオーダーは、体型・サイズ・好みなどの項目に合わせ、細部にわたって一から型紙を作るため、時間と手間がかかります。一方、既存の型紙を利用し、特定箇所のみを補正するパターンオーダーの場合は、型紙作りの工程を省略できるため、フルオーダーやイージーオーダーと比べて短期間で仕立てられます。

パターンオーダーのデメリット

パターンオーダーは手軽にオーダーできるのが魅力ですが、用意されたパターンの中からしか選べないというデメリットがあります。そのため、既製服と体型が合わない方や、デザインに強いこだわりがある方には、物足りないと感じるでしょう。

パターンオーダーのデメリットを感じている方が検討すべき方法も紹介しています。

細かな体型補正ができない

パターンオーダーは、お客さまの体型や好みに対して補正できない場合、あるいは補正範囲を超えてしまう場合には、利用できない可能性があります。例えば、アスリートのように腕周りや胸囲が極端に大きい人や、なで肩やいかり肩の程度が強い人は、補正で対応できる範囲を超えるサイズ変更や、型紙の作り直しが必要なケースに該当します。どうしてもスーツをオーダーしたい場合には、費用はパターンオーダーよりも高額になりますが、イージーオーダーやフルオーダーへの変更を検討しなければなりません。

自分に合ったモデルが見つからない場合がある

パターンオーダーは、オーダーサロンが扱っているスーツのモデルを基に型紙を補正するため、自分の体型に合ったモデルが見つからない、もしくは自分の好みに合ったモデルが見つからないというケースも考えられます。このような場合には、自分が求めているモデルをラインナップしているオーダーサロンを探すか、イージーオーダーやフルオーダーへの変更を検討する必要があります。

パターンオーダーの流れ

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パターンオーダーの流れは、イージーオーダーやフルオーダーと比べるとシンプルです。また、サイズ補正やオプションなどの選択肢が限定されているため、注文完了までの時間や仕立て上がりまでの期間が短い特徴があります。

カウンセリング

パターンオーダーで最初に行うことは、オーダーサロンの専門スタッフによるカウンセリングで、このときに自分の希望を具体的に伝えます。例えば、スーツのオーダーにかけられる予算・好みのスタイル・着用するシーンや季節・既製品を着用したときに不満に感じる点などが挙げられます。なお、通常は専門スタッフの質問に答えていくだけでも、パターンオーダーに必要な情報は一通り伝えられるはずです。

生地の選択

カウンセリングを終えたら、その内容に従いながら、専門スタッフと一緒にスーツの生地を選びます。生地は、オーダーサロンによって品揃えが異なりますが、国産の生地のみならず、イギリスやイタリアといった海外の人気インポートブランドの生地を取り揃えているところも多いです。そのため、非常に多くの種類の中から、好みに合わせて選択することができます。ただし、生地ごとに価格や特徴などが異なり、初心者では実際にスーツに仕立てたときの状態をイメージするのは難しいでしょう。そのため、無理に自分だけで判断せず、専門スタッフに相談しながら選ぶことをおすすめします。

モデルの選択

パターンオーダーの生地が決まったら、次にベースとなるモデルを選択します。いくつか好みのモデルのゲージ服を実際に着用しながら、デザインやシルエットなど、自分の体型やイメージに近いものを選び出します。この場合も、多数のモデルを見てきた経験豊富な専門スタッフに相談しながらすすめると良いでしょう。

採寸とフィッティング

採寸とは、体型にフィットするスーツを仕立てるために、ジャケットの着丈・袖丈・肩幅・スラックスのウエスト・ヒップ・股下など、パターンオーダーに必要な部位のサイズを測定することです。

採寸した後は、選んだモデルのゲージ服を着用し、採寸データを基に不自然なシワや生地のたるみなどをピンで補正し、動きも考慮しながら体にフィットさせていきます。この段階で仕立て上がりの状態をある程度イメージできるのも、パターンオーダーのメリットの1つです。

オプションの選択

パターンオーダーの最後の工程は、裏地やボタンなどのオプション選択です。完成品を想像しながら、多数のサンプルの中から選ぶ作業は、既製品では体験できないオーダー特有の楽しい時間です。裏地は表地と同様、種類やデザインが豊富にそろっており、センスの見せ所となります。ただし、オーダーするスーツとの相性のみならず、着用シーンも考えて選択しましょう。

仕上がりの確認

オーダーサロンのシステムにもよりますが、パターンオーダーは注文から3〜4週間で仕上がるのが一般的です。完成品を受け取りにお店を訪問した際は、必ずその場で試着し、補正箇所のフィット感や、裏地やボタンなどのオプションが注文どおりに出来ているかをチェックします。万が一、どこか違和感や注文と異なるところがあれば、専門スタッフに遠慮なく相談しましょう。

パターンオーダーの価格相場

パターンオーダーは、既存のモデルをベースに微調整するというシンプルなオーダーシステムのため、ほかのオーダー方法よりも比較的リーズナブルな価格です。使用する生地やブランドによっても異なりますが、一般的な価格相場は80,000円程度となります。補正範囲は限定されますが、初めてオーダーする人にとっては、既製品との差が小さく魅力的な価格といえるでしょう。

イージーオーダーやフルオーダーとの比較

イージーオーダーとは、パターンオーダーと同じく、選んだモデルのゲージ服を着用して補正するシステムです。しかし、より細かな体型補正を行いパターン修正するため、価格帯はパターンオーダーよりも高額で、一般的な価格相場は50,000〜200,000円程度となります。

フルオーダーは、お客さまの体型や要望に合わせ、一から型紙を作成した上で生地やパーツを指定します。そのため、世界で一着しかない自分だけのオーダースーツを仕立てることができますが、一般的な価格相場は200,000円程度からのスタートとなります。

まとめ

既製品のスーツは、平均的な体型を前提としてパターン(型紙)を作成し、大量生産された商品です。そのため、価格はオーダーに比べて安価ですが、自分の体型や好みに合ったスーツを見つけるのは簡単ではありません。一方、パターンオーダーには制約はありますが、デザイン(スタイル)・表地・裏地・ボタンなどのパーツを選択し、自分の体型に合わせて補正できるため、既製品のスーツに比べてはるかに満足度の高い一着を仕立てることができます。

時代とともにスーツスタイルも変化している今日、リーズナブルな価格でありながらも、自分の個性や体型に合わせて仕立てられるパターンオーダーにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。