ビジネスメールの正しい書き出しとは?基本的なマナーやシーン別の例文を紹介

ビジネスメールの正しい書き出しとは?
基本的なマナーやシーン別の例文を紹介

就活では、企業の人事担当や先輩社員とメールでやりとりすることが多々あります。長期インターンに参加する学生であれば、社内だけにとどまらず、社外のクライアントとやりとりをすることもあるでしょう。

この記事では、就活生向けのビジネスメールの書き出しについて紹介します。学生であっても、選考を受ける企業やインターン先の企業に失礼がないよう、正しいビジネスマナーを確認しておきましょう。

ビジネスメールの書き出しの基本構成

ビジネスメールの書き出しは、以下の順番で構成するのが一般的です。

1.宛名
2.挨拶
3.自己紹介(名乗り)

3つの要素の正確さは、送信者の第一印象を決める重要なポイントです。それぞれ詳しく解説していきます。

宛名

宛名は「どの会社の、どの部署の、誰に」差し出すかを示す、重要な要素です。会社名や名前を間違えることがないよう、送信前には繰り返し見直して確認しましょう。

・社外向けは会社名+部署名+名字、社内向けは部署名+名字

宛先が社外の人であれば、相手の会社名、部署名、名字の順、社内であれば会社名はつけず、部署名と名字を記載します。就活生が企業の人と連絡を取る場合には、必ず会社名から記載しましょう。敬称は、個人宛には「様」、部署や会社など団体宛の場合は「御中」を使います。

【具体例】
・株式会社○○ 人事部 佐藤 様
・株式会社○○ 人事部 御中

担当者の名前や、担当者が誰なのかわからない場合は「ご担当者様」とすれば問題ありません。

【具体例】
・株式会社○○ 人事部 ご担当者 様

挨拶

メールの冒頭の挨拶は、相手との関係性や連絡の頻度、用件の緊急度によって細かく使い分けることで、本文全体の印象が変わります。

・メールの書き出しで拝啓・敬具は不要

ビジネスメールでは「拝啓」や「敬具」は不要で、「いつもお世話になっております」などの書き出しが使われます。初めてメールを送る相手には「突然のご連絡失礼いたします」や「初めてメールを差し上げます」などが適切です。

自己紹介

挨拶文の後には、自己紹介(名乗り)をします。就活生は学校名と学部・学科、氏名を記載しましょう。社会に出た後であれば、自分の会社名と部署名、氏名を名乗ります。初めてメールを送るときは、「○○大学○○学部○○科の○○と申します」と丁寧に伝えると、好印象を与えられます。

【シーン別】ビジネスメールの書き出しの例文

【シーン別】ビジネスメールの書き出しの例文

ここでは、シーン別のビジネスメールの書き出しの例文を紹介します。

初めて連絡する相手への書き出し

初めて連絡する相手には、すでに関わりがあることを感じさせる「お世話になっております」は基本的に使用しません。以下のような書き出しで始めましょう。

【具体例】
・初めてご連絡を差し上げます。
・初めてメールをお送りいたします。
・突然のご連絡失礼いたします。
・貴社サイトに掲載されているインターンシップ開催のご案内を拝見し、ご連絡差し上げました。
・〇〇様からご紹介いただきました。

面識のない相手や知らないアドレスからのメールを受け取ると、懐疑心や警戒心を持つ人もいるでしょう。連絡に至った経緯や紹介してもらった人などを説明し、相手の不安感を和らげるように意識すると良いでしょう。

2回目以降の相手に送る際の書き出し

連絡を取るのが2回目以降の場合、以下のような書き出しが一般的です。

【具体例】
・いつもお世話になっております。
・お世話になっております。先日はご連絡いただき、ありがとうございました。

前回のやり取りのお礼を一文加えたりすると、より丁寧な印象になります。

電話やWeb会議でやり取りした相手への書き出し

既にやり取りしたことがある相手であれば、定型の挨拶「いつもお世話になっております+自己紹介」の後、時間を割いてもらったことに対するお礼を一言添えます。

【具体例】
・先ほどはお電話(またはWeb会議)にてご対応いただき、誠にありがとうございました。
・本日はWeb会議にて貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
・本日のWeb会議ではお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました。

自己紹介と併せてコンパクトにまとめたい場合は、次のような書き出しも良いでしょう。

【具体例】
・いつもお世話になっております。先ほどお電話(Web会議にてお話)させていただきました〇〇です。

先方は自分以外にも複数の人を相手にしていることもあるため、何で対応してもらったか(電話またはWeb会議など)を明確に記載すると、伝わりやすいでしょう。

久しぶりに連絡する相手への書き出し

久しぶりに連絡する場合は、以下のような書き出しが良いでしょう。

【具体例】
・大変ご無沙汰しております。
・ご無沙汰しておりますが、その後いかがお過ごしでしょうか。
・長らくご無沙汰をしまして、申し訳ございません。
・長らくご無沙汰しております。□月□日に開催されたインターンシップでご一緒させていただいた○○大学○○です。

インターンシップで一度だけ会った相手に連絡を取る場合などは、開催日や会場などを記載すると良いでしょう。連絡する内容にもよりますが、連絡まで間があいたことへの謝罪、相手の健康や近況を気遣う一文を入れると、印象が良くなります。

一方的に続けて送る際の書き出し

メールは相手からの返信を待って送るのがビジネスマナーですが、補足や追加の情報がある場合など、立て続けに送るケースもあるでしょう。一方的に続けて送る際には、次のような書き出しを使います。

【具体例】
・度々失礼いたします。
・度々申し訳ございません。
・立て続けのご連絡にて失礼いたします。
・五月雨式に失礼いたします。

短時間に何度もメールが送られてくることを良く思わない人もいるため、立て続けに送ることについて相手への配慮を示すと良いでしょう。

お礼や感謝の気持ちを伝える際の書き出し

お礼の気持ちを伝える際は、定型の挨拶の後に、以下のような書き出しを続けます。

【具体例】
・先日のインターンシップではありがとうございました。
・先日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました。

定型文の挨拶の後に加えることで、より丁寧な印象を与えられます。複数回インターンシップや面接などが開催されている企業の担当者に送る場合は、「先日」ではなく「〇月〇日」などより具体的に示すと良いでしょう。

お詫びや謝罪の気持ちを伝える際の書き出し

お詫びの気持ちを伝える際は、定型の挨拶の後に、以下のような書き出しを続けます。

【具体例】
・この度は〇〇の件でご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
・〇〇の件、対応(返信)が遅れており大変申し訳ありません。
・大変申し訳ございませんが、先ほどお送りした〇〇が間違っておりました。

書き出しの後に、具体的な謝罪内容、経緯や原因、今後の対応を続けて記載します。末尾に「メールにて恐縮ですが、よろしくお願いいたします。」などの一文を添えて締めると、より丁寧になります。

お願いや依頼をする際の書き出し

要望を伝える際は、定型の挨拶の後に、以下のような書き出しを続けます。

【具体例】
・会社説明会の件について確認(質問)させていただきたく、ご連絡いたしました。
・〇〇についてお力をお借りしたく、ご連絡いたしました。
・〇〇の件について、恐れ入りますが△日までお時間をいただけませんでしょうか。

ビジネスメールでは、依頼内容を最初に明示するのがマナーです。また、依頼内容を記載する前に、「早速ですが」や「恐縮ですが」をつけると丁寧かつ文章の流れが良くなります。

締めの一文は下記のようにすると、より丁寧な印象を与えられます。

【具体例】
・お忙しいところ恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。
・お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

お断りする際の書き出し

相手方の依頼をお断りする場合、依頼時と同様、最初に結論を伝えるのがマナーです。定型挨拶に続けて、簡潔に意向を伝えましょう。

【具体例】
・〇〇の件について慎重に検討した結果、大変恐縮ではございますが、今回は見送らせていただきます。
・ご期待に添えず誠に残念ですが、今回の○○については見送らせていただきたいと存じます。

「提案への感謝」「検討した旨」「お断りの結論」の順に伝えることで、相手に配慮した柔らかい印象の書き出しとなります。

報告・共有・お知らせしたい際の書き出し

報告や共有、お知らせのメールでは、定型の挨拶の後に、以下のような書き出しを続けます。

【具体例】
・長期インターンシップの契約書を添付いたします。
・エントリーシートを送付いたします。
・〇〇が届きました。確かに受領いたしました。

知らせたい内容が相手にきちんと伝わるよう、明記することを意識しましょう。

日時を連絡する際の書き出し

日時の連絡では相手との齟齬が生じないよう日付と時間だけでなく曜日も記載し、定型の挨拶の後に以下のような書き出しを続けます。

【具体例】
・〇月〇日(〇)のインターンシップに参加させていただきたく、ご連絡差し上げます。
・〇〇について、恐れ入りますが△日中までにご回答いただけますでしょうか。

時間は24時間表記か、午前/午後を明記すると伝わりやすく、間違いが起きにくくなります。

季節の挨拶を用いた書き出し(年末、新年など)

年末や新年などは、定型の挨拶の後に、以下のような書き出しを続けます。

【年末の具体例】
・今年も残すところあと僅かとなりました。本年も(は)〇〇様には多大なるご支援をいただき、誠にありがとうございました。
・年の瀬が迫り、今年も残り僅かとなってまいりました。貴社には本年も格別のご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。

【年始の具体例】
・明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
・新春のお慶びを申し上げます。旧年中はひとかたならぬご愛顧にあずかり誠にありがとうございました。本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

仕事納めや仕事始めとなる年末年始は、取引先などに日ごろの感謝を伝える良い機会です。

英語で送る際の書き出し

英語のメールも日本語と同様に、挨拶文の後に用件を簡潔に述べるのが一般的です。

【宛名・挨拶】
・Dear Mr./Ms. [Last Name](フォーマル)
・To Whom It May Concern,(宛名が不明な場合)
・Hello [First Name],(ややカジュアル)

【挨拶文・導入文】
・I hope this email finds you well.(初めての相手宛)
・I hope you are doing well.(既にやり取りしたことがある相手宛)

英語のビジネスメールで最もフォーマルな宛名は「Dear」です。「Hi」や「Hello」はややカジュアルですが、ビジネスシーンでも広く使われます。

ビジネスメールを送るときのマナーや注意点

ビジネスメールを送るときのマナーや注意点

ここでは、ビジネスメールを送るときのマナーや注意点を紹介します。

簡潔でわかりやすい件名を設定する

ビジネスメールでは、内容が一目でわかる件名にすることを心がけ、短く具体的に書きます。

【具体例】
・「○月○日打ち合わせのご確認」
・「資料送付のお願い」

件名が伝わりにくかったり曖昧だったりすると、開封が後回しにされたり見落とされたりする原因にもなるため、簡潔にすることを意識しましょう。

宛名は必ず記載する

複数回やり取りしている相手であっても宛名は必ず記載します。相手の会社名や部署名、氏名を正確に書きましょう。また「様」や「御中」など、敬称も忘れないよう注意しましょう。宛名がないと誰に向けたメールなのかがわかりづらく、失礼にあたります。もし宛名が不明な場合は「ご担当者様」などと記載してください。

クッション言葉を追加する

クッション言葉は、相手への依頼や質問、相手からの要望へのお断りなど、用件に入る前に添える言葉です。本題の前に入れることで強い口調や唐突な表現の回避にも繋がり、相手が受ける印象を柔らかくします。

【具体例】
・「お忙しいところ恐れ入りますが」
・「突然のご連絡失礼いたします」
・「お手数ではございますが」
・「ご迷惑をおかけしますが」

就活中から意識しておくと、社会に出た後スムーズに使いこなせるようになります。

結びの挨拶を忘れずに

メールの最後には、対応への感謝や今後のお願い、メール連絡となることの謝罪などで結びの挨拶を入れましょう。相手への配慮と丁寧さが伝わり、印象が良くなります。

【具体例】
・「何卒よろしくお願い申し上げます」
・「お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします」
・「取り急ぎのメールとなり恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします」

締めの言葉の後には署名も忘れずに記載して、自分の連絡先を明示しましょう。

送信前に内容のチェックをする

メールを作成したら、送信前に誤字脱字や文法ミスを確認することが大切です。宛先のアドレス、予定の日付や数字なども間違いがないかチェックしましょう。添付資料がある場合は、添付漏れやファイルの正誤も必ず点検してください。

文章や内容は相手に伝わりやすいか、失礼な表現がないか、正しい敬語を使えているかもしっかりと見直しましょう。

就業時間内に送信する

ビジネスメールは、相手の勤務時間を考慮して送信するのが理想です。夜間や休日のメール送信は、原則控えた方が良いでしょう。

ただし、勤務時間内に間に合わず翌日が休日になる場合や緊急性が高い場合は、夜間や土日であっても、送っても問題ないでしょう。翌営業日にメールを確認してもらいやすく、返信もスムーズになります。営業時間外や休日などにメールを送る場合は、「お休みのところ失礼いたします」などのクッション言葉を付け加えましょう。

【記事まとめ】ビジネスメールの書き出しを正しく使い分けて、好印象を与えよう

就活や就職後にも頻繁に使うメールは、一般的なビジネスマナーとして覚えておくべきスキルです。学生のうちにマナーを習得すると企業の方に好感を持たれやすく、他の就活生と差をつけることもできます。ビジネスメールの書き出しを正しく使い分けて、相手に好印象を与えるやり取りを心がけましょう。