GPAの平均はいくつ?計算方法や就活の影響についても解説

GPAの平均はいくつ?計算方法や就活の影響についても解説

GPA(Grade Point Average)は、大学における成績の評価指標として広く使用されています。
就活や進学などの場面で話題に上ることもよくあるため、GPAの重要性を感じている学生も多いのではないでしょうか?
しかし、実際のところGPAは大学や学部で成績の評価方法が異なるため、必ずしも就活の選考で重視されるとは限りません。

この記事では、GPAの平均値やその評価基準や計算方法について詳しく解説します。
GPAが就活や進学などにもたらす影響についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

GPAとは「大学で使われる成績評価値」

GPAとは「Grade Point Average(グレード・ポイント・アベレージ)」の略で、大学での成績を数値化して表す指標です。
より簡単にいえば、「大学で使われる成績評価値」で、成績が優秀であるほどGPA値が高く、逆に成績が低いとGPA値も低くなります。
GPAの活用方法は大学ごとによりますが、学内の選考や奨学金、留学、就活など、大学内のさまざまな場面で用いられます。文部科学省の調査によると、GPAは日本の大学の約98%(文部科学省より)に取り入れられており、大学生の成績を測る代表的な指標のひとつです。

GPAの計算方法・平均の出し方

GPAの計算方法は、以下の通りです。

1. 対応する成績評価とグレードポイント(GP)を確認
2. 各科目ごとに「GP × 単位数」を掛ける
3. すべての科目について「GP × 単位数」を合計
4. 総履修単位数で割る(不可・Dの科目も含める)
それぞれ、詳しく見ていきましょう。

①対応する成績評価とグレードポイント(GP)を確認

まず、各履修科目の成績を5段階で評価し、それぞれの評価にグレードポイントを割り当て、計算します。日本の大学では、5段階評価(S・A・B・C・Dまたは秀・優・良・可・不可など)を採用しているところが一般的です。

たとえば、S~D(秀~不可)の5段階評価で、4~0点の評価の場合、以下のようになります。

成績評価 GP(グレードポイント)
Sもしくは秀 4
Aもしくは優 3
Bもしくは良 2
Cもしくは可 1
Dもしくは不可 0

外国語の成績評価がSもしくは秀だった場合のグレードポイントは、4となります。

ただし、グレードポイントは大学によって4段階など異なる場合があるため、必ず自分の大学の基準を確認してください。

②各科目ごとに「GP × 単位数」を掛ける

次に、それぞれの科目ごとにグレードポイントと単位数を掛けます。
たとえば、外国語が2単位、S・秀評価の場合には、4GP×2単位=8点です。物理が2単位、C・可であれば、1GP×2単位で、2点となります。

③すべての科目について「GP × 単位数」を合計

続いて、②の手順に基づいて、すべての科目のGP×単位数を算出し、総合計を出します。

【GPA計算例】

履修科目 単位数 5段階成績 点数
英語I 2 S 2×4.0=8.0
経済学 3 A 3×3.0=9.0
心理学 3 B 3×2.0=6.0
社会学 1 C 1×1.0=1.0
○○学 2 A 2×3.0=6.0
○○学 3 B 3×2.0=6.0
○○学 1 A 1×3.0=3.0
○○学 2 D 2×0=0
合計 17 - 39

④総履修単位数で割る

最後に、算出したGPの総合計を総履修単位数で割ると、GPAが求められます。
このとき、GPが0の不可・Dの科目も、単位数に含めるのを忘れないようにしてください。
③で用いた例の場合、GPA=合計点数39÷履修単位数17なので、2.29411…となり、四捨五入して2.29となります。
数値が割り切れないときには、小数点第3位以下を四捨五入し、小数点第2位で示すのが一般的です。

GPAの評価基準は大学によって違う

GPAの評価基準は、大学によって異なります。
日本の大学では5段階評価とGPを使って算出する方式が一般的ではありますが、大学ごとに違いがあるため、自分の大学の評価方法について確認しましょう。
大学の成績評価方法については、学内のキャリア支援センターやシラバスなどで調べるのが正確です。
GPAの評価基準を確認したい場合には、一度チェックしてみてください。

GPAは何以上が優秀?

GPAは、学内平均+0.5以上であれば成績上位であり、大学内でも優秀といえる可能性が高いと考えられます。そのため、学内平均が2.5なら3.0以上が、成績優秀者のひとつの目安といえるでしょう。
ちなみに、大学生全体におけるGPA3.0以上の学生の割合は、一般的に3割程度とされています。

GPAの平均値は2.4~2.8が一般的(5段階評価の場合)

GPAの平均値は2.4~2.8が一般的(5段階評価の場合)

GPAの平均値は一般的に2.4~2.8とされています。
国立大学でも私立大学でも、GPAの平均値に大きな差はないようです。ただし、上記はあくまで一般論であり、大学や学部により平均値は異なるため、大学ごとに確認しましょう。

ちなみに、大学1年生であってもGPAの平均は同じく2.4~2.8ほどとなります。
ただ、比較的授業をきちんと受ける学生が多くなるため、他学年よりもやや高めになる傾向にあります。
また、学部では文系の方が、理系よりもGPA平均値は高めの傾向にあるようです。
理由として、理系は科目ごとの難易度が高く、試験の平均点が低いことも多いため、結果としてGPA平均値が低くなりやすいことが考えられます。

就職活動や進学、奨学金、留学におけるGPAの重要性・影響

ここでは、GPAが就活や大学内のどのような場面で活用されるのか、重要性や影響について解説します。

一般的な日本企業の就職活動におけるGPAの重要性・影響 

結論として、一般的な日本企業の就活では、GPAが低いというだけで選考に落ちることは考えにくいといえます。

主な理由は、以下の通りです。

・ 大学ごとに評価基準や難易度が異なり、すべての学生を公平に判断できない
・ 同じ成績「A評価」であっても、科目の講義の難易度や内容が異なること
・ 企業の採用基準項目において、基礎学力はそれほど重きを置いていない

まず、評価基準や難易度は大学や科目ごとによって全く異なるため、学生を公正に判断する材料になりにくいことが考えられます。一般的な日本企業への就活ではGPAの数値だけに頼らず、自己評価や自己PRなど自身の魅力を引き出すためのアピールに力を入れるようにしましょう。

進学におけるGPAの重要性・影響

文部科学省の委託調査の結果より、大学内におけるGPAの主な利用方法として、以下が挙げられます。

・ 学生の履修状況把握、履修指導への助言
・ 交換留学生の選抜基準
・ 奨学金などの学習支援

上記の通り、多くの大学では、履修状況の把握や助言にGPAを活用しています。また、交換留学生の選抜基準として活用しているところも6割ほどあるようです。

一方で、進学のために活用していると答えた大学において、大学院の入試、進級判定へ有効に活用している大学は5割ほどでした。およそ半数の大学が進学のためにGPAを活用してはいるものの、GPAの数値だけで結果が決まるものではありません。
大学院の進学を考えているのであれば、GPAを意識しつつ、研究計画や志望理由などの側面も重視すると良いでしょう。

『国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究』

奨学金におけるGPAの重要性・影響  

奨学金や授業料免除の対象者の選定において、GPAは重要視される可能性が高いです。
実は、大学が最もGPAを活用しているのが、奨学金や授業料免除対象者の選定基準となっていて、約84%の大学が奨学金などの選定基準にGPAを活用しています。
奨学金や授業料の免除を受けたいと考えている学生は、GPAを意識して大学生活を送るようにすることが大切です。

『国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究』

GPAが影響しやすいケース

なかには就活でもGPAが重視されるケースがあります。
どのような場合にGPAが重要視されるのか、それぞれ見ていきましょう。

学校推薦で就職活動する場合

大学からの推薦を受けて就職したい場合、GPAが重要になることが多くあります。
文部科学省の委託調査によると、GPAを就職等の推薦基準として有効と答えたのが30.5%、やや有効と答えたのが31.6%となっています。およそ6割以上の大学が推薦基準としてGPAを意識しているため、重要であるといえるでしょう。
大学側に就職先を紹介してもらいたいと考える学生は、日頃からGPAを意識した学生生活を心がけることをおすすめします。

『国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究』

研究職で就職活動をする場合

研究職で就活をする場合にも、GPAが影響する場合があります。
研究職では大学で学んだ知識や研究内容をそのまま活かせる業務が多く、企業側としても即戦力となる人材を求める傾向にあります。そのため、学生が入社してすぐに働き、役立つ知識が、企業側としても必要です。

たとえば、志望する学生にどの程度知識があるかを把握するために、GPA記載の成績表から学生の評価をチェックすることがあります。専門職の就活ではGPAが影響しやすい傾向にあるため、研究職の学生はGPAを高くキープするよう意識しましょう。

大企業や外資系企業を志望する場合

大手企業や外資系企業を志望する場合にも、GPAは重視されやすいといえるでしょう。
欧米では進学や就職においてGPAを重視するのが一般的で、日本でも外資系企業の選考ではGPAが重視される傾向があります。

また、多くの学生が応募する大手企業は、多面的な評価を行うためにGPAが採用基準のひとつになっていることが多いようです。
大企業や外資系企業の就活で求められるGPAは高い傾向にあるため、志望するなら入学時からGPAを意識し、高い成績をキープすることを心がけましょう。
志望する企業がGPAを重視するか不明な場合は、GPAを重視した採用かどうかの点を含めた企業研究を行ったり、先輩や卒業生に質問してみたりするのもおすすめです。

GPAが平均より高い場合の就職活動での活かし方

GPAが平均より高い場合の就職活動での活かし方

GPAが平均より高い学生は、以下のような方法で就活に活かすことができます。

・ 学業への取り組み姿勢を具体的に伝える
・ 専攻科目や研究内容、身につけた知識・スキルを積極的に説明
・ GPAを上げるための工夫や困難を乗り越えた経験のエピソードを伝える
・ 学業で得た姿勢やスキルが、入社後の業務にどう活かせるかを示す

GPAの高さはそれだけでも強みになりますが、自分なりの工夫や行動を具体的に伝えることで、より効果的な自己アピールにつながるでしょう。

GPAが平均より低い場合の対処法

GPAが平均より低くても、就活で挽回は可能です。具体的には、以下のポイントを意識してみましょう。

・ 自分の正確なGPAを把握し正直に回答する
・ 勉学への自分なりの向き合い方を具体的に準備する
・ 学業以外の経験やスキルを積極的にアピールする

実際の面接でも面接官からGPAを確認されることがあります。まず大切なのは、GPAを正確に把握することです。自分のGPAを知らないと、学業への意識が低いと見なされるので注意しましょう。
面接官がGPAを訪ねる場合、成績の良し悪しを知りたいというより、与えられている課題、すべきタスク、ミッションをどう取り組むのかという意図があります。

そのため、GPAが低かったとしても単位取得のために自分なりに工夫した点を説明できるようにしておきましょう。たとえば、「友人を巻き込んでテスト勉強した」「先輩から情報収集して効率を図った」などエピソードを準備するのが大切です。
また、資格取得やボランティア活動など、勉学以外に自分が努力した点を伝えることも重要です。GPAが低い=不真面目と誤解されないようアピールしましょう。

【記事まとめ】GPAの平均と重要性を把握しよう!

GPA(Grade Point Average)は大学での学業成績を示す重要な指標です。大学側での奨学金選定や履修状況の把握だけでなく、就活や大学推薦、大企業・外資系企業の選考でも重視されます。
GPAを高めることで他の学生と差をつけやすくなり、進学や就職活動で有利に働きます。またGPAを高めるため行った自分なりの工夫について具体的に説明できると、面接官へのアピールにつながるでしょう。
今回の情報を参考に、GPAの重要性を理解し将来のキャリア形成に役立てましょう。

深澤絢さん

監修:深澤絢さん

国家資格キャリアコンサルタント・1級キャリアコンサルティング技能士。
企業にて18年間にわたり、採用・教育・人事制度構築など経営に直結した人材開発に従事した後、独立。
現在は企業における社員のキャリア開発に携わるかたわら、これまでの経験から企業がどんな学生を欲しがるか、活躍し続ける社員に共通することは何かを分析し、各種セミナーや大学での講座などで就活生にポイントを伝授し続けている。学生面接4万人以上、就職相談2万人以上の実績あり。