「貴社」と「御社」の違いは?
就活の面接や履歴書、メールでの使い分け方を解説
「貴社」と「御社」は、どちらも相手の会社を表す敬語です。なんとなく分かってはいるものの、いざ使うとなると迷ってしまう就活生も多いのではないでしょうか。
本記事では、「貴社」と「御社」の違いを詳しく解説します。就活の各場面において、どちらを使うべきかについてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
「貴社」と「御社」の意味や違いとは
「貴社(きしゃ)」と「御社(おんしゃ)」は、どちらも相手の会社に対する敬語であり、示す意味は同じです。両者は場面によって、以下のように使い分けられます。
【使用シーン】
貴社は「文書」:メール、履歴書、エントリーシート(ES)、送り状など
御社は「会話」:面接、電話、会社説明会、OB・OG 訪問など
このように「貴社」は書き言葉(文語)として文書に、「御社」は話し言葉(口語)として会話に用いられます。もともと使用されているのは「貴社」のみでしたが、記者、汽車、帰社などの同音異義語が多く紛らわしいため、話し言葉に「御社」を使うようになったとされています。
自分の勤め先には、「貴社」や「御社」を使わないという点にも注意しておきましょう。
「貴社」と「御社」を使った例文をシーン別に紹介

就活における場面ごとに、「貴社」や「御社」を使った例文を紹介します。
「貴社」の場合
・履歴書やESでの例文
①貴社が展開されている〇〇事業に強く興味を持ち、自分の力を試したいと思い志望いたしました。
②私の強みであるリーダーシップを、貴社のプロジェクト推進に活かしたいと考えております。
履歴書やESを郵送する場合は、「この書類を送るので確認をお願いします」という「送り状」を同封するのがビジネスマナーです。送り状には、「貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます」など、「貴社」を用いた挨拶文を添えましょう。
・メールでの例文
①先日は貴社の説明会に参加させていただき、ありがとうございました。
②貴社の事業内容や今後のビジョンを詳しくお伺いでき、大変勉強になりました。
メール作成時には打ち間違いや脱字がないか確認するのが基本です。同音異義語が多い「貴社」は、特に変換ミスに注意しましょう。
「御社」の場合
・面接での例文
①御社の「〇〇な社風」に強く共感し、感動いたしました。
②私はこれまでの経験を踏まえ、御社に貢献したいと考えております。
「御社」は面接で頻出する言葉のひとつです。履歴書や ES を丸暗記して「貴社」と言ってしまわないよう、気を付けましょう。「貴社」を「御社」に置き換えつつ、はっきり伝えることを意識して繰り返し練習しましょう。
・電話での例文
①現在、御社の採用選考に参加させていただいております〇〇大学の〇〇と申します。
②○月○日の×時に御社にお伺いいたします。
先方からの電話を受けるときは、面接などと異なり心の準備ができていないこともあるでしょう。緊張する場面でも落ち着いて「御社」を使えるよう、普段から意識すると失敗を減らすことができます。
・会社説明会や座談会での例文
①御社では、社員同士のコミュニケーションや働きやすさの向上にどのように取り組まれていますか?
②〇〇さんが、御社への就職を決めた一番の理由を教えていただけますか?
座談会などの少し砕けた場であっても、「御社」を使いましょう。就活生として志望企業への尊敬の念を忘れずに、正しい敬語を使えるように意識しておくことが大切です。
「貴社」や「御社」の使用には、いくつかの注意点があります。基礎的なビジネスマナーなので、間違えないようしっかりと覚えておきましょう。 「貴社」や「御社」には「御中」や「様」を付けた方が良いのでは、と感じる人もいるかもしれませんが、「貴社御中」や「御社様」は二重敬語で誤用となります。「貴社」「御社」は、相手に敬意を示す「貴」や「御」によって敬語になっているため、付け足すと二重敬語になると考えれば、わかりやすいでしょう。 使い方を間違えると、「ビジネスマナーを知らない」というマイナスのイメージを持たれてしまうこともあります。丁寧さは大切ですが、正しく敬語を使えているかをより重視しましょう。 「弊社」や「当社」は、どちらも自社を指す言葉で、就活生が使うことはありません。相手の会社を指す「貴社」や「御社」と混同しないように注意しましょう。 「弊社」は自分の会社をへりくだって言う表現で、社外の人に対して使うのが一般的です。一方、「当社」は社外の人をはじめ、社員同士などの対等な関係でも使われます。 間違って使ってしまうと、知識不足という悪印象を与えてしまうことがあります。社会人になってからは、自分から見た関係性を考えて使い分けるようにしましょう。 一般企業では「貴社」「御社」を使いますが、志望先によっては異なる表現をする組織もあります。表現が異なる組織の一例を、以下の表にまとめました。 事前に確認し、自分の志望先の表し方を間違えないようにしましょう。複数の業界や団体で就活する学生は特に、それぞれの志望先での誤用に注意してください。スムーズに対応できるよう、志望企業ごとにまとめておくのもおすすめです。 気を付けているつもりでも、緊張やうっかりで間違えてしまうこともあるでしょう。ここでは、対処法・予防策を紹介します。 その場で言い間違いに気づいた場合は、すぐに「失礼いたしました」と断りを入れたうえで、「御社」と訂正しましょう。後から言い間違いに気づいた場合は、わざわざ遡って訂正や謝罪をする必要はありません。面接官や採用担当が重要視するのは、言い間違いよりも履歴書や面接の内容です。過剰に不安を抱えず、できる限りで気を付けましょう。 ただし何度も繰り返し間違うと、ビジネスマナーが不十分と捉えられたり、熱意がないから練習不足なのでは?と思われたりすることもあるため、注意しましょう。 メールで「御社」と送ってしまった場合も意味は伝わるため、訂正メールを作成する必要はありません。誤用ではあるものの、書き言葉で「御社」を使っても失礼には当たらないためです。 ただし、話し言葉同様、繰り返し間違えたり誤字脱字が多かったりすると、ビジネスマナーの不十分さや入社意欲を疑われることがあります。履歴書などの書類やメールは、期間や時間に余裕をもって作成し、細かい部分まで必ず確認して、提出前にミスを防ぐように心がけましょう。 書き言葉の「貴社」と話し言葉の「御社」を、シーンに合わせて正しく使うことが大切です。敬語は重要なビジネスマナーですが、間違いがあったとしてもそれだけで合否が決まるわけではありません。誤った使い方をしない努力は必要ですが、それ以上に熱意や志望動機を伝えられるよう、面接官や志望先の先輩社員とのコミュニケーションを意識しましょう。「貴社」や「御社」を使う際の注意点
二重敬語にならないように気を付ける
「弊社」や「当社」と混同しないようにする
一般企業でない場合は別の言い方がある
組織の種類
書き言葉
話し言葉
省庁
貴省(きしょう)
貴庁(きちょう)御省(おんしょう)
御庁(おんちょう)
市役所・区役所
貴所(きしょ)
御所(おんしょ)
銀行
貴行(きこう)
御行(おんこう)
信用金庫
労働金庫貴庫(きこ)
貴金庫(ききんこ)御庫(おんこ)
御金庫(おんきんこ)
店舗
貴店(きてん)
御店(おんてん)
病院
貴院(きいん)
御院(おんいん)
学校
貴校(きこう)
御校(おんこう)
大学・短大
貴学(きがく)
貴大学(きだいがく)御学(おんがく)
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