自己PRの例文15選。書き方のポイントや
履歴書・ESでの違いも解説
就職活動で重要な鍵となるのが自己PR。でも具体的には何を伝えればいいのか分からなくて悩んでいる人は多いでしょう。
そこで本記事では、企業で面接官も務めるキャリアカウンセラーに、自己PRとは何なのかの基礎知識や、自分の強み(アピールポイント)の見つけ方、書き方のポイントを詳しく解説してもらいます。強み別に具体的な例文も紹介しますので、ぜひ、参考にしてください。
目次
そもそも自己PRとは
自己PRとは過去の経験を交えて、自分の強みや、応募する仕事に生かせそうな資質があるとアピールすること。
履歴書やES(イーエス…エントリーシートの略称)に書いたり、面接で聞かれたりする場合が多いのですが、企業側は就活生の自己PRを通して「自社で活躍できそうな人材かどうか」「就活生の能力や将来性が、自社の求めている人材像とマッチしそうかどうか」などを判断します。
そのため、単なる自己紹介ではなく、企業で力を発揮できる人材であると伝えることが大切です。
自己PRとガクチカの違いとは
ESや面接では、「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」も質問されることが多いのですが、これは自己PRとはアピールポイントが異なります。
自己PRで伝えるのは、どんな状況でも発揮できる自分の強みであり、仕事につなげて貢献できる力です。一方、ガクチカは、学生時代に取り組んだ物事や困難を乗り越えた経験を通じて、自分の価値観や、どう成長したのかを伝えるものです。
こうした違いがあることを意識し、自己PRとガクチカを書き分けましょう。
なお、自己PRとガクチカを両方問われた場合、趣が異なるものを用意するのがおすすめです。
例えば、自己PRでサクセスストーリーを書くならば、ガクチカでは苦労や挫折した経験など泥臭い話を入れる、自己PRが自分一人で何かを成し遂げた話であれば、ガクチカでは大人数でどう力を合わせてきたかを述べるなどです。
もし、どちらも同じような状況での話にする場合、違う境遇ではどうなのかなどについて、面接で突っ込まれる可能性があるので、どんな質問にも答えられるよう、一層の心構えが必要です。
履歴書・ES・面接の自己PRは同じでいい?

履歴書・ES・面接の自己PRは異なる内容にはせず、むしろ、同様の内容で一貫性を持たせることが大切です。それぞれで違う内容の自己PRを伝えると、採用担当者が就活生の人物像をつかめず、評価しづらくなる可能性があるでしょう。
ただし、アピールしたい強みが統一されていれば、エピソードは異なるものを用意しても問題ありません。
その上で、下記の点を意識しましょう。
・履歴書での自己PR
履歴書の自己PRでは、要点を簡潔に書くようにしましょう。文字数は指定があればそれに従いますが、特にない場合は、約100~200文字が目安です。
・ESでの自己PR
履歴書よりは掘り下げた内容を書くのが一般的です。こちらも文字数指定がなければ、約300~400文字が目安です。
なお会社指定のフォーマットがある場合は、履歴書・ESどちらの場合も、枠内の8割以上を埋めるイメージで記載しましょう。
・面接での自己PR
履歴書やESでは書き切れない自分の情熱や感情面も含めて、約1分間でスピーチできる量(300~400文字程度)が目安となります。ESで書いたものをそのまま読むのではなく、より臨場感やニュアンスを伝える気持ちで準備してみてください。
なお、面接では多くの場合、就活生側の回答が終わった後に、面接官から深堀の質問があります。しっかりと答えられるように、詳細についてもまとめておき、準備しておくといいでしょう。
ただし、深堀質問は必ずされるとは限りません。そのため最初の回答では、冗長にならないよう気を付けつつも、絶対に伝えたい部分をあらかじめ入れ込むようにしてくださいね。
アピールポイントの見つけ方

就活に必須といえる自己PR。しかし、いざ考え始めてみると「自分の強みやアピールできることが分からない…」と、悩んでしまうこともあるでしょう。そこで、自分のアピールポイントを見つけるための代表的な方法をお教えします。
過去を振り返ることを通し自己分析をして見つける
過去の自分を振り返り、自分の強みを探す方法です。具体的なやり方の例として、3つの手法を紹介します。
・自分史を書く
今までの人生を振り返り、起きた出来事、当時感じたことや学んだことなどを時系列で書き出します。「自己PRにつなげよう」と力まずに、成功談も失敗談も含めて、思い浮かんだものをどんどん記載していくのがポイントです。
・モチベーショングラフを書く
モチベーショングラフとは、今までの人生の中での心の充実度の変化を、曲線グラフを用いて表すというもの。当時の感情と、なぜそう感じたのか、過去の出来事を振り返ります。それらを通して自己分析を行うことで、自分の強みや行動特性、こだわりなどを洗い出していきます。
・頑張ったことを一つ決めて掘り下げる
部活、アルバイトなど、これまでに最も頑張ったと思う体験を選び出し、深堀します。なぜ頑張ったのか、どんな目標を立ててどう頑張ったのかなどを書き出していきましょう。「何となく」ではなく、それぞれの理由や背景を言語化していくと、自分についてより分かってくるはずです。
業界研究・企業研究をして求められる人物像から見つける
自分が志望する業界や企業にマッチしそうな人物像を調べ、そこに合う強みを見つけ出すという方法です。
企業のホームページや採用サイトをチェックすると、経営理念や社風、求めている人物像などを確認することができます。さらに、その企業でどんな人が活躍しているのかを実際に見て知るのも大切なので、会社説明会への参加や、OB・OG訪問もおすすめです。
そうして得られた情報から、自分の中にある強みでマッチするものは何があるか、考えていきましょう。
ただし、志望先が求めている人物像と、自分の本来の強みが違っている場合、無理やり繕ってアピールポイントにしてしまうのは、避けた方がいいでしょう。面接でボロが出たり、入社できたとしても後々、自分自身がつらくなってしまったりする可能性があります。
就職はあくまでも企業・仕事と人とのマッチングなので、自分に合う求人を見つけることも大切です。
診断ツールを使用したり他者に相談したりして見つける
アピールポイントがなかなか見つからない時は、診断ツールを使用するという方法もあります。インターネット上や就活サイトなどには自己分析や適職診断のツールがあり、結果から自分の強みや傾向を見つけられます。
この他、アピールポイントの見つけ方として役に立つのが、友達や家族に聞いてみることです。
自分はどんな人物なのか・長所はどんなところか・印象に残っているエピソードなどを教えてもらう中で、自らは気付いていないすごさや能力などの「隠れた強み」が見つかるでしょう。あなたは短所だと思っていたところが、他者からは長所だと思われている、といった発見もありそうです。
自己PRの書き方のポイント

相手に伝わる自己PRを書くためには、以下の流れでまとめるのが基本です。
1 最初に結論(自分の強みは何か)
2 強みを裏付けるエピソード
3 入社後の展望
それぞれについて、詳細や注意点を紹介します。
まずは強みを一言で述べる
「私の強みは○○です」と、最初に結論である「アピールポイント」を伝えることで、履歴書・ESの読み手や面接担当者が、その後に続く話の内容を理解しやすくなります。分かりやすい言葉で、できるだけ一言で完結するようにしましょう。
ただし、ここで注意したいのは「強みは○○力です」と述べるだけでは漠然としがちで、自分と相手で定義が異なる恐れがあるということ。その力を自分はどのような強みだと思っているのか、補う言葉が必要です。
例えば、伝えたい強みが「コミュニケーション能力」の場合、人によって幅広い意味があります。「難しい話でも相手に分かりやすく説明できるコミュニケーション能力が強み」「コミュニケーション能力が強みで、特に相手の要望を聞き出すことができる傾聴力に自信がある」といった具合に、具体性を持たせましょう。
なお「本当に自信があるのは○○力だけだけれど、△△力も加えておこう」「こっちのアピールポイントの方が受けが良さそう」などと、話を盛ったり偽ったりするのは避けましょう。仮にそれで採用されても、自分の本当の強みを発揮できない職務が与えられて、つらくなる可能性があります。
また、アピールポイントが多過ぎると話がぶれてしまい、なかなか伝わりません。自分が自信を持って語れて、かつ企業が求める人物像にマッチしそうなものを、1~2つに絞るのが大切です。
強みを裏付ける具体的なエピソードを用意
最初に強みを伝えた後は、部活動やアルバイト、留学経験など、その強みを裏付ける具体的なエピソードを紹介しましょう。
エピソードは、派手だったり特殊だったりする必要はありません。むしろ一回限りの珍しい体験ではなく、一定期間の活動の方が効果的。単なる偶然ではなく、自分の強みを発揮して、意図して得られた結果だと伝わるのが重要です。そういったエピソードは、入社後もその強みを発揮できるという、再現性があることの証明にもなるでしょう。
可能ならば、アピールしたい強みに合わせて、数字を記載すると説得力が増します。
例えば、リーダーシップが強みなら自分がまとめ上げたチームの人数を、実行力を発揮してアルバイト先の売り上げ増加に貢献した話なら「勤務して3カ月で売り上げを3%伸ばした」など、規模や難易度が伝わるように数字を記載するといいでしょう。
なお、自己PRでは、勝負の勝ち負けなどの「結果」にはこだわらなくてもいいですが、強みを発揮して何らかの「成果」が得られたという事実を盛り込むことが必要です。
例えば部活でリーダーシップを発揮したというエピソードの場合、「大会で優勝した」という結果は必ずしも必要ではありませんが、「チームの士気が上がった」などの成果は必要です。この成果が、強みの裏付けになるからです。
さらにその時の気付きや自分なりに工夫したことも書き加えれば、目標や課題に対してどんな思考で行動する人なのか、特性や人柄も伝わりやすくなるでしょう。
最後にテクニックをお伝えすると、どんな内容をどうエピソードとして組み立てるのかを考える時は「STAR」、つまり「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」の4つの軸を意識するといいでしょう。
「Situation(状況)」はどういう状況に立たされていたか・「Task(課題)」はその状況における課題
・「Action(行動)」は課題に対してどう考え、行動したか・「Result(結果)」はどのような結果や成果がもたらされたか、を表します。これらを盛り込めば、自分の強みが伝わりやすくなります。
最後に入社後の展望を述べられるとベスト
まとめとして、入社後に自分の強みをどう生かし、どのように活躍できるのかを述べます。自分を採用するメリットを伝える部分なので、応募先企業のどういった仕事・職種で強みを発揮できそうか、しっかり伝えましょう。
最近は新卒採用でも、募集の時点である程度の職種が定められているケースも増えています。その場合は「就社」だけにならないよう、「就職」のための自己PRを意識しましょう。つまり、どの会社、どの仕事でもあてはまるような、定型文的な内容にならないように注意してください。その職種ならではの文言を意識して、締めるようにするといいですよ。
応募先企業が求める人材像を踏まえた上で、入社後の展望を伝えることで「企業研究をしっかりしていて、その会社で働くイメージができている人物」としてアピールができます。それが、採用担当者に好印象を与えることにつながるでしょう。
アピールポイント別・自己PRの例文集

ここからは、代表的なアピールポイント(強み)として15個をピックアップし、それぞれの具体的な例文を紹介します。
基本的な流れとしては、最初に自分の強みとその定義を述べ、それを裏付けるエピソード、そして締めの言葉として入社後の展望を伝えます。今回はある程度、募集職種が限定されている場合を想定した例文を用意しています。
なおアピールポイントにはさまざまな種類や粒度のものがあり「絶対にこれでないといけない」という決まりはありません。
ただし「誠実さ」「主体性」など意識的なものは、「リーダーシップ」といった明確な能力のアピールと比べて、何ができるのか伝わりづらいので、より具体的なエピソードが必要です。どういう場面でどういう行動をしたのかに言及し、しっかりと強みを打ち出しましょう。
コミュニケーション能力
「コミュニケーション能力」はよく聞く言葉であるだけに、意味が幅広く、人によって捉え方はさまざまであるといえます。
例えば「物事を成し遂げるために人を納得させられる交渉力」「誰とでも社交的に円滑な会話ができる力」「傾聴力」「分かりやすく伝える力」「相手の望んでいることをくみ取る力」などが含まれるでしょう。これらの中でどのような能力をアピールするのかを、最初に明確に伝えるのが大切です。
【例文】
私の強みはコミュニケーション能力、特に相手のニーズをくみ取る力です。
私は半年前からカフェで接客のアルバイトをしていて、そこではお客さまに、対応した店員の点数をつけてもらうアンケートがあります。エリア内の接客アルバイトは50人程度おり、その中で先日、月間得点1位を獲得できました。お客さまからは「テキパキしていて好印象」「説明が分かりやすかった」「こちらの好みや気分に合わせて、おすすめのメニューを提案してくれる」などのコメントもいただきました。
カフェには、急いでいる方・初めて来店される方・おすすめのメニューを知りたい方などさまざまなお客さまがいらっしゃいます。最初はマニュアル通りの硬い接客しかできなかったのですが、その方の表情や様子からニーズを瞬時にくみ取って、それぞれに適した接客をするよう心掛けた結果が、評価されました。
貴社に入社後も、コンサルタントとしてクライアントのニーズを聞き出し、常に最適な提案ができるよう努力したいと考えています。
協調性・チームワークを重視できる
「協調性・チームワークを重視できる」とは「和を重視して行動できること」といえますが、単に周りの人に合わせることができるだけでは、採用担当者から「主体性がない」と判断される可能性もあります。
そのため「異なる立場の人たちと一緒に行動できる」「価値観の違う人たちと意見をすりあわせながら協力し進められる」といった内容で、どんな状況でも多くの関係者と協働できる力をアピールするのが大切です。
【例文】
私には同じ目標に向けて、異なる立場の人の意見をまとめる協調性があります。
私が所属する国際協力の学生団体は、さまざまな大学に通うメンバーがいて、全国に支部が4つあります。
年に2回、全支部で集まり、支部ごとに活動報告と国際協力の提言を発表する会があります。しかし同じ支部でも、人により活動に割ける時間が異なる、会う機会が限られるなどの理由で、意見をまとめるのに苦労していました。
そこで私は、同支部のメンバー25人それぞれに学業やアルバイトなど団体活動以外の優先順位を聞き、その中でできる業務分担を提案して、皆が活動を両立しやすくなるようにしました。
また、対面に比べ参加しやすいオンライン会議を複数回にわたり設定したところ、一体感が生まれ、意見の相違があっても尊重し合い、より良い意見が出るようになりました。そして無事、全員が協力する形で発表ができました。
貴社の開発部門でも多くの人と協働できる環境づくりに力を注ぎ、チームワークで高品質なサービスを提供したいです。
リーダーシップ
「リーダーシップ」とは「目標達成に向けてチームを引っ張っていく能力」だと考えられます。
一方で、強みとしてアピールする場合は「独断的に物事を進める」「協調性がない」といった誤解をされないよう、メンバーとの関わり方やチームをまとめる方法についても盛り込むといいでしょう。
【例文】
私の強みはチーム全員の力を引き出し、全体をまとめ上げるリーダーシップです。
大学では3年生の4月より地域活性のゼミ長を務め、15人のメンバーと共にフィールドワークで○県○○市の活性化プロジェクトに関わり、定期的に現地に足を運びました。
まず課題の本質を探るべく、地域住民にインタビューを行いましたが、情報が得られず、研究が進みませんでした。ゼミ内での会議の結果、その原因は、現地に関する知見不足と、取材能力の低さにあると考えました。
そこで私はゼミ長として、現地の歴史や風習を調べ直し、隔週に一度、勉強会を開きました。また、適切な質問ができるよう、お互いにインタビューをし合い、練習を重ねました。
結果、3度目の取材で地域が抱える問題を聞き出すことができました。ゼミ生と地域住民との交流も生まれ、協働でイベントを企画・開催し、空き家の活用などの成果が得られました。
貴社でもゆくゆくはこのようなリーダーシップを生かし、チーム一丸となって建造物をつくっていきたいです。
主体性・積極性
「主体性・積極性」は一見、アピールしやすそうな強みです。しかし言葉の意味が広く、また心の持ちようともいえるだけに、具体性がないまま自己PRを書いてしまうと、伝わりにくくなるので注意が必要です。
「人がやりたがらないことも進んでやる」「目標に向かって主体的に行動を起こす」「他者に働き掛けて、チーム一丸となって物事を成し遂げる」など、どのような「主体性・積極性」なのかを明確にした上で、アピールしましょう。
【例文】
私の強みは、目標に向かって主体的に行動できる積極性です。
趣味のダンスが高じ、大学2年生でダンスサークルを立ち上げました。ただ一緒に楽しむだけではなく、目指したのは大会に出場できるサークルでした。
12人のメンバーが集まりましたが、その内に練習に遅刻・欠席する人が多くなりました。そこで、一人一人のメンバーと話し合いを実施。その結果「初心者なので練習についていけない」「基礎から習得したい」という意見が多いと分かり、知人からプロのダンスインストラクターを紹介してもらい、定期的に指導を受けられるようにしました。
それからはメンバーの出席率が上がり、みんな熱を入れて練習に取り組むようになりました。そして、立ち上げから1年後には、大会出場という目標を達成できました。メンバー間の絆も強まり、活発に意見交換ができるチームになったことにも喜びを感じました。
こうした私の主体性・積極性を生かし、今後は貴社の一員として、新規事業に携わっていきたいです。
チャレンジ精神・向上心がある
「チャレンジ精神・向上心がある」は、多くの人が強みとして用いやすいキーワードです。それだけに、他の就活生とどう差別化するのかがポイント。
「新しいことにチャレンジする」「困難なことでも挑戦し続ける」「苦手なことでも向上心を持ち、学び続ける姿勢」など、自分ならではの強みに言い換え、アピールしましょう。
【例文】
私の強みは、苦手なことも克服しようとする向上心を持ち、挑戦する姿勢です。
私は人と話すのが苦手でしたが、社会人になる前にその弱みを克服しようと思い、約1年間、営業職の長期インターンをしています。
インターン先の事務機器メーカーでは、新規顧客獲得に向けて、テレアポで2出勤日につき1件のアポイントを取るノルマがあります。最初はうまく話せず、全く達成できずにいました。
しかし、ここで挫折してしまっては意味がないと思い、経験豊富な社員の方に声を掛け、話し方の改善点を教わったり、ロールプレーイングの相手をお願いしたりしました。
アドバイスを取り入れつつ試行錯誤する内に、当初指摘された、まわりくどいトーク内容が改善され、簡潔に話せるようになった結果、半年後にはコンスタントにノルマを達成できるようになりました。
ディレクター職は業務内容が多岐にわたると思いますが、貴社に入社後も、もし苦手なことに直面しても臆せず挑戦し、さまざまな業務をこなして活躍していきたいです。
好奇心旺盛
「好奇心旺盛」は「何事にも興味が持てる」という意味で使われる場合が多いですが「その興味をどう追求して、どのように行動したのか」まで伝えることで、より説得力が出てきます。
また「分からないことを知ろうとする意欲の高さ」「未知のこと、得意ではないことでも自分なりに面白さを見つけて取り組める前向きさ」といったアプローチでも、アピールできます。
【例文】
私は好奇心旺盛で、新しい物事にも興味を持って、楽しみながら取り組むことができます。
大学2年の時、飲食店のキッチンでアルバイトを始めました。しかし、ホールの人手が足りなくなり、接客スタッフも兼務することになりました。接客のアルバイト経験はなかったのですが、自分のスキルが広がることにワクワクしながら、仕事の習得に力を注ぎました。
毎回、提供する料理の特徴・配膳方法・お客さまとの会話など、気になった点はメモを取り、業務の知識を増やしました。また、分からないことや困ったことがあればそのままにせず、必ず先輩スタッフに質問をして教えてもらっていました。
そうして6カ月後にはキッチンとホールの両方の業務ができる面が評価され、アルバイトリーダーに起用されました。
創業期にある貴社でも、営業という既存の枠にとらわれずに幅広い業務を担当することがあると思いますが、持ち前の好奇心を発揮して、貪欲に取り組んでいきたいと考えています。
実行力
ビジネス社会での「実行力」とは「目的を達成するために計画を立て、実現に向けてやり切る力」などを指します。エピソードでは、積極的に行動を起こして成果を上げたことにとどまらず、置かれていた状況や実現までのプロセスを具体的に伝えると、強みとしての説得力が増すでしょう。
【例文】
私の強みは、目標達成に向けて計画を立ててやり抜く実行力です。
大学3年生で学園祭実行委員会の広報部門のリーダーを任され、来場者数を前年比3%増とする目標のもと、活動計画の策定から実行、評価の全てを管理しました。
広報部門の活動はチラシやポスターの制作・チラシ配布・学園祭SNSでの情報発信など多岐にわたり、例年本番近くには遅延による制作物の品質低下やタスク漏れが続いていました。そこで着実な進行のために、スケジュールとメンバーの役割分担を明確にした上で、定期的な進捗報告の場を設けました。
また、過去来場者が多かった年は地域住民の来場が多かったことに着目し、人員配置を強化して、小さなお子さまと家族連れで楽しめる企画を近隣へ周知するよう、指揮しました。
こうしたプロセスにより、意図した通りの広報宣伝を実行し、来場者数は前年比5%増を達成しました。
今後、貴社でもこの実行力を生かし、マーケティング職として効果的なプロモーション計画などに関わりたいと考えています。
誠実さ・真面目さ
誠実さ・真面目さは、社会人としてあって当たり前ともいえるものです。
また、スキルというよりは心構えに近いものでもあるので「どんな業務でも、手を抜かずに取り組む真面目さ」「会社やチームために行動できる誠実さ」「何事も最後までやり遂げる真面目さ」など、何ができるのか、会社のためにどう貢献できるのかを、より具体的に伝えることが必要になります。
さらに、その誠実さ・真面目さが他者から評価されたという客観的なエピソードを加えるといいでしょう。
【例文】
私は、周りの人たちのために、常にできることを見つけて行動できる誠実さがあります。
新規の法人営業として3カ月の長期インターンシップに参加していた時、システムのトラブルで、一時的に顧客リストが閲覧できなくなった時がありました。
社員の方から「今日はできることがないので帰ってもいい」と言われましたが、私は何か自分にもできることがないかを考えました。
リストには過去の取引履歴や企業情報なども記載されていますが、いつ復旧するか分からなかったため、社員の方と一緒に、先輩方の近々の商談で必要そうな情報を、メールや別のファイルなどから抽出してまとめました。
その結果「おかげで商談がスムーズにいった」「トラブル対応に集中できた」などとフィードバックを頂きました。
私が普段から心掛けている、何事も自分事として真摯に取り組む姿勢が、組織の役に立つことにつながると、身をもって実感しました。貴社でもPM候補としてプロジェクトのチームを支え、誠実に業務に取り組んでいきたいです。
責任感が強い
「責任感が強い」というと「期限までに物事を仕上げる」「最後まで投げ出さずにやり抜く」といった行動を連想するでしょう。しかし、それだけでは強みとして伝わりにくいので、企業が求める「責任感が強い」とは何かを考えてみましょう。
例えば「組織の一員としての責任を持ち、成果を出す仕事ができる」「責任を持って物事に取り組み、周囲から信頼される」といったアピールにつなげていけるのがベストです。
【例文】
私の強みは、任された仕事に責任を持って取り組み、課題に対し実行可能な解決策を導き出せることです。
現在、混声合唱サークルで会計を担当しています。メンバー数は43名で、全員に会費として毎月2000円を納めてもらっていますが、滞納者が増加傾向にあり、約2割の人が未納の月もありました。
会費は、音楽家の先生への指導の謝礼や、合唱イベントへの参加費、演奏会開催費用の一部などに充当されます。このまま会費滞納が続くと、財政が悪化し、今後の活動に影響が出る可能性がありました。
そこで私はメンバーを集めて会議を開きました。会費の滞納が多く、厳しい局面にある状況を伝え、何にいくらお金が掛かるのか、詳しい内訳を改めて説明。また、今までは現金で集金していましたが、いつでも入金できるよう、サークルの銀行口座開設を提案・実施した結果、翌月から滞納者はゼロになりました。
こうした経験を生かし、貴社に入社後も会社を支える事務職として、責任感を持って真摯に業務に取り組んでいきたいです。
忍耐力・継続力
「忍耐力・継続力」にも種類があります。「どんな状況でも物事を続けられる粘り強さ」「困難なことがあっても乗り越え、継続できる」「知識やスキルを積み上げていける力」など、どのような力をアピールしたいのか、焦点を絞って伝えるのがポイントです。
【例文】
私の強みは、目標に向けて粘り強く知識を積み重ねていける継続力です。
私は、企業の経営や財政状況を把握し、健全な運営のために重要な役割を担う経理職に興味を持ちました。そのための知見を養うべく、大学在学中の日商簿記検定1級取得を目指しました。
集中的に猛勉強をして上位資格の合格を目指す方法もありますが、私は基礎を積み上げながら成長していきたいと考え、3級から始めました。大学1年から2年の秋まではテキストや動画を活用して独学で勉強し、3級と2級に合格しました。
3年生になってからは資格スクールに通って勉強し、無事、1級に合格しました。
時間は掛かったのですが、簿記検定3級・2級・1級とステップアップしていく過程には、知識が増える手応えがありました。
貴社に入社できた暁には、持ち前の継続力を生かして、経理として日々着実な成果を積み上げながら、ゆくゆくは企業の戦略立案にも携われるような人材になりたいと考えています。
柔軟性・臨機応変さ
「柔軟性・臨機応変さ」とは「状況の変化やアクシデントが起きた時、冷静に落ち着いて対処でき、最善の策を考えて行動できること」といった理解が一般的です。
この強みを効果的に伝えるには、予期せぬ状況、イレギュラーな事態を切り抜けたエピソードを用いる必要があるでしょう。ただし、採用担当者から「乗り切れたのは、単に運が良かったからではないか」などと捉えられることのないよう、自分の行動についての考えや根拠を盛り込むのが大切です。
なお「一つの物事に固執せずに融通が利くこと」「どんな状況や意見も受け入れられる」といったアプローチも可能です。
【例文】
私は予期せぬ状況にも柔軟に、臨機応変に対応できる力を持っています。
現在、50人規模の子ども食堂で調理ボランティアをしています。ある日、スタッフとボランティアメンバー6人のうち、2人が急きょ病欠となり、人手が足りなくなりました。
私のモットーは「ピンチを楽しむ」。何としても食事の準備を間に合わせようと、奮い立ちました。
そこで受付や遊び担当のメンバーも含めて話し合い、個々の得意分野を考慮しながら、調理を手伝ってもらえるよう役割を割り振ったり、一部の業務を簡略化したりしました。メンバーの力を結集して、無事時間内に食事を提供することができました。
臨機応変さという自分の強みが、効率良く業務を行い、子どもたちの笑顔につながったこの経験は、私に自信を与えてくれました。貴社に入社後もこの対応能力を生かし、たとえトラブルがあっても状況を瞬時に把握して冷静に対処し、期限内にしっかりとクリエイティブな制作物を出せる人材でありたいと考えています。
前向きさ
「前向きさ」は「失敗したり、苦境に置かれたりしている時でも学ぶ意欲を持ち、成長し続けられる人材」「職場にポジティブな影響を与えられる人材」など、採用担当者に良い印象を与えることができるでしょう。
ただし「単なる楽観主義ではないか」「失敗しても受け流せてしまうので、すぐに忘れてしまうのでは?」といった捉え方をされてしまう可能性もあるので要注意です。困難に対してどう考え、どう学んだのかを具体的に伝えるのが重要です。
【例文】
私は、困難を楽しみながら、努力を続けていける前向きさがあります。
大学2年生の時、英語力を向上させるため、半年間、アメリカに留学しました。英語は中学時代からずっと成績が良く、自信を持っていましたが、留学先では先生などの言葉が早過ぎて聞き取れず、また自分の意見をとっさに英語にできないという壁に直面しました。
その壁を撃破するために、まずは英語を話す機会を増やそうと考えます。同じ授業を取っている学生に積極的に話し掛け、お茶や食事に誘ったり、買い物やレストランに行った時は、お店の人と雑談するよう心掛けたりしました。
分からない時は聞き直し、文法が間違っていてもとにかく「伝える」練習をする内に、周りの人とも徐々に会話が弾むようになって、英語が上達。授業の成績も上がっていきました。
貴社に入社後も、営業として厳しい目標と向き合う必要があるかもしれませんが、困難な状況でも常に前向きに取り組み、成果につなげられるよう、力を尽くしていきたいです。
創造力
「創造力」とは「今までにない新しいものや価値をつくり出す能力」を指し、「発想力」とも言い換えることができるでしょう。
「ゼロの状態から斬新なアイデアを生み出す能力」も創造力ですが、「現状に疑問を感じて、改善策を考えて提案する能力」という側面からもアピールできます。
【例文】
私には、やるべき業務をより効率化して進めることのできる、発想力という強みがあります。
私は、地域のフードバンクで食品を配布するボランティア活動をしておりました。
その際、寄付された食品の管理が紙主導で実施されており、配布する前の分別作業に時間を取られてしまい、内容の抜け漏れも頻繁にありました。
そこで、インターネット上にて無料で使える情報共有ツールの導入を提案。また、ボランティアと管理者との連絡をメールでなく、LINEを使ってよりリアルタイムな報連相ができるよう改善しました。
ご高齢でデジタルに不慣れなボランティアメンバーに対しては、利用法のマニュアルを作って渡し、分からないことがあれば、都度、お教えするといったフォローを行いました。その結果、分別作業に掛かっていた時間を約25%削減することができました。
これからは貴社のプログラマーの一員として、指示された業務をやるだけではなく、自由な発想力を生かして、改善点を常に考え業務に取り組んでいきたいです。
論理的思考能力
「論理的思考能力」は幅広い意味のある言葉ですが、主に「物事の理を理解し、筋道を立てて考える力」のことだといえるでしょう。
強みとしてアピールするには、「物事のつながりを理解できる」「何が問題なのかをつかみ、解決に導いていける」「問題の本質を理解した上で議論できる」など、具体的に言い換えることが必須ポイントです。
【例文】
私の強みは、物事の本質をつかみ、論理的思考で問題を解決できる力です。
その力が特に発揮されたのは、大学の経済学部のゼミ対抗ディベート大会です。「日本は16歳未満のスマートフォン所持を禁止にするべきか、否か」に関し、議論を交わしました。
そこで私が特に意識していたことは「テーマに対する論点は何か、細分化して、整理すること」「事前調査に基づく具体的な根拠を用いて、納得感のある意見を述べること」「私たちが実現可能な解決策を示すこと」の3点でした。
これにより、激論が繰り広げられる中で、相手から予期せぬ観点から反論が出てきても、常に冷静に順序立てて意見を述べ、論点がぶれた時はすぐに軌道修正を図るという対応ができました。結果、8チーム中2位の成績を残せました。
貴社に入社後もこうした能力を生かし、問題の核心をつかんで解決し、周囲の人を説得しながら、営業売り上げの増加に貢献していきたいと考えています。
課題解決能力
企業が求める「課題解決能力」とは「何が課題なのかを発見し、解決に向けて行動する力」といえるでしょう。自己PRでは、課題に対してどういった着眼点・アプローチで解決したのか、行動のプロセスを具体的に伝えることがポイントです。
【例文】
私の強みはどんな状況でも客観的に分析し、解決策を発見できる課題解決能力です。
私は大学でバスケットボール部に所属していますが、2年生になった年、成績が低迷し、12チームで戦うリーグ戦では11位でした。
このままではいけないと思い、3年生になって副キャプテンになった時、改善に向けて動きました。試合結果を分析し、終盤にスタミナ切れになる傾向があることと、個々の技術力に差があることに成績不振の原因があるのではないかと考えました。
監督やキャプテンとも相談して練習メニューを見直してもらい、持久力をつけるトレーニングや個別指導を取り入れました。さらに定期的にミーティングを開いて意見交換を行い、各自のやるべきことを明確にしました。
その結果、練習効率が良くなって個々の技術も向上し、その年のリーグ戦では順位が9位に上がりました。
この強みを生かし、入社後も営業職としてクライアントの課題解決に貢献していきたいと考えています。
【記事まとめ】就活での自己PRは、自己分析と企業分析をして
考えよう
自己PRとは、過去の経験から、応募する仕事に生かせそうな自分の強みをアピールするものです。
しっかりと自己分析、そして企業分析をした上で、自信のある能力と、企業側が求める人材像とがマッチするようなアピールポイントを考えましょう。
華々しいエピソードや結果はなくてもいいので、何らかの成果を得るために、自分がその時に考えたことや工夫したプロセスを入れ込みます。そして何より、自分の持っている強みがどう発揮されていたかを伝えられると、企業内でも再現性があると感じてもらえるはずです。
順番としては、今回紹介したポイントや例文を参考にしながら、最初に強みを簡潔に書き、それを裏付けるエピソード、そして応募した仕事でどう活躍できるのかを述べるようにしましょう。

監修:深澤絢さん
国家資格キャリアコンサルタント・1級キャリアコンサルティング技能士。
企業にて18年間にわたり、採用・教育・人事制度構築など経営に直結した人材開発に従事した後、独立。
現在は企業における社員のキャリア開発に携わるかたわら、これまでの経験から企業がどんな学生を欲しがるか、活躍し続ける社員に共通することは何かを分析し、各種セミナーや大学での講座などで就活生にポイントを伝授し続けている。学生面接4万人以上、就職相談2万人以上の実績あり。