洗濯マークの読み取り方を徹底解説!素材別のケア方法も紹介
お手入れ
公開日:
更新日:
「この洗濯マーク、どういう意味だろう。」と衣類のタグを見て困った経験はありませんか。
2016年に洗濯表示が新しくなってから、見慣れない記号に戸惑う方も少なくありません。
そこで本記事では、新JIS規格の基本記号から素材別の注意点まで、忙しい毎日に役立つ洗濯の知識をお伝えします。
さらに、失敗したときのリカバリー術も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
洗濯マーク(JIS規格)とは?
まず、衣類に縫い付けられている洗濯マークが、日本の産業製品に関する規格であるJIS規格に基づいていることを解説します。
新しい洗濯表示(JIS L 0001)
2016年12月1日から、衣類の洗濯表示は国際規格(ISO)に準拠した新しい記号(JIS L 0001)へと変更されました。
これは、海外で購入した衣類でも国内の製品と同じように取り扱い方を理解できるようにするためです。
図柄のパターンは従来の22から41へと大幅に増え、より詳細な情報が伝わるようになりました。
2016年改定で変わった部分
新しい洗濯表示への改定により、大枠で以下のような変更がありました。
・絵よりもシンプルな図形で記載
・図柄内の日本語指示は廃止、必要な情報は付記で対応
・「絞り」に関する図形の廃止
・衣類ケアの選択肢を広げる新項目の追加
洗濯マーク【基本記号5種】の意味
ここでは、新しい洗濯表示の土台となっている5つの基本記号について詳しく紹介します
洗い(桶マーク)

家庭での洗濯方法を示すのが、洗濯桶の形をしたマークです。
従来までは洗濯機洗いと手洗いで分かれていましたが、新しい図柄では両方を対象としています。
基本的な読み取り方は、以下のとおりです。
・桶の中に記載されている数は洗濯時に使用できる水の温度上限
・図形下部にあるラインの数は洗濯機で洗う場合の強弱
・桶の中に手が記載されているときは手洗いのみ
必要に応じて、洗濯ネット使用や裏返して洗うなどの付記用語が記載されます。
漂白(三角マーク)

三角形の図柄は、漂白剤の使用に関する指示を表します。
【真っ白な三角】塩素系および酸素系のどちらの漂白剤も使用可能。
【三角の中に斜線が2本】酸素系漂白剤のみ使用でき、塩素系漂白剤は使用不可。
【三角全体に×】いかなる漂白剤も使用してはならない。
乾燥(四角マーク)

四角の図形は、衣類の乾燥に関する情報を表すものです。
この記号は大きく分けて「自然乾燥」と「タンブル乾燥」の2パターンあり、四角の中の絵柄によって区別されます。
自然乾燥(干し方)図柄
四角の中に棒線がある図柄は、自然乾燥を表すマークです。
自然乾燥とは、天日干しや陰干しなど、熱源を使わない乾かし方を指します。
基本的な読み取り方は、以下のとおりです。
・【縦の棒線】「つり干し」推奨
・【横の棒線】「平干し」推奨
・【左上に斜線】「陰干し」を推奨
・【棒線が2本】脱水(洗濯機または手絞り)なしのぬれ干し推奨
タンブル乾燥図柄
四角の中に丸が記載されている図柄は、タンブル乾燥(回転式乾燥機)の可否と温度設定を示しています。
基本的な読み取り方は、以下のとおりです。
・【丸の中に点が2つ】排気温度のリミットが80℃の通常乾燥が可能
・【丸の中に点が1つ】排気温度のリミットが60℃の低温乾燥が可能
・【記号全体に×】タンブル乾燥禁止
アイロン(アイロン型マーク)

アイロンの形をした図柄は、アイロンがけの適切な温度設定を表しています。
基本的な読み取り方は、以下のとおりです。
・【点が3つ】210℃を上限とする高温でアイロンがけが可能
・【点が2つ】160℃までの中温でアイロンがけが可能
・【点が1つ】120℃までの低温でアイロンがけが可能
・【点が1つとスチーム絵柄に×】120 ℃を限度とするスチームなしでアイロンがけが可能
・【記号全体に×】アイロンがけ禁止
なお、平成28年12月1日から令和6年8月19日までは、スチーム絵柄と「×」の図形はなく、それぞれの温度も若干異なります。
スチームの使用に関しては、点が3つ、もしくは2つが可能とされ、点1つはスチームなしで仕上げるのが基本です。
あて布が必要なケースは、使用する旨の付記用語が記載されます。
プロフェッショナルクリーニング(丸マーク)

円形の図柄は、クリーニング店のような専門家に向けた記号です。
ドライクリーニングとウエットクリーニングのどちらが適しているか、また使用できる溶剤や水流の強弱などが読み取れます。
この記号のみが記載されている衣類の洗濯は、クリーニング店への依頼が必要です。
ドライクリーニング図柄
円の中に「P」または「F」のアルファベットが記載されている図柄は、ドライクリーニングに関する記載です。
プロに向けた指示ですが、基本的な読み取り方は以下のとおりです。
・【円の中にP】パークロロエチレンおよび石油系溶剤によるドライクリーニングが可能
・【円の中にF】石油系溶剤によるドライクリーニングが可能
・【記号全体に×】ドライクリーニング禁止
円の下にラインが記載されているときは「弱い水流」を表します。
ウエットクリーニング図柄
円の中に「W」が記載されている図柄は、専門家による「ウエットクリーニング」が可能であることを表します。
ウエットクリーニングとは、水を使用して特殊な技術で洗い上げる、クリーニング店ならではの水洗いです。円の下のラインは水流の強弱を表します。基本的な読み取り方は以下の通りです。
【1本】「弱い水流」
【2本】「非常に弱い水流」
【×で覆われている】ウエットクリーニング不可
洗濯マーク【付加記号・数字】の意味
続いて、基本記号と組み合わせて用いられる、付加的な記号・数字が持つ意味を解説します。
数字が示す水温の目安
洗濯桶の中に記載されている数は、洗濯時に使用できる液温のリミットを摂氏(℃)で表しています。
指定された温度を超えてしまうと、衣類が縮んだり、色落ちしたりするリスクがあるため注意が必要です。
液温のリミットは、95/70/60/50/40/30の6つが存在します。
手洗いの場合のみ液温のリミットは40℃で、図形下部にラインがあるときは、液温のリミットは30℃とします。
点の数でわかる洗濯の温度上限
タンブル乾燥やアイロンの温度設定は、数字ではなく点の数(ドット)で示されることがあります。
これは、温度を「高・中・低」の3段階で直感的に理解できるようにするためです。
具体的な数値については各項目で解説していますので、ここではドットが温度の目安になる点だけを押さえておきましょう。
一本線・二本線でわかる洗濯時のやさしさの度合い
洗濯桶やクリーニングの円形直下に記載されているラインは、水流の程度を示します。
ラインがないときは通常の強さで洗うことが可能です。
【ラインが1本】弱い水流、つまり洗濯機の「弱水流」や「手洗いコース」などを選ぶ。
【ラインが2本】非常に弱い水流が求められ、もっともデリケートな設定で洗う。
手洗いのみ、ラインの有無で温度上限の高低を表します。
「×」の記号は「禁止」のサイン
各基本記号が「×」で覆われているときは、その処理が「できない」ことを表します。
禁止指示を無視してしまうと、衣類に回復不可能なダメージを与えてしまう可能性が高いため注意しましょう。
洗濯時に知っておきたい素材別の注意ポイント

ここからは、衣類の代表的な素材別に、知っておきたい特有の注意点を解説していきます。
洗濯マークに関する知識と、各素材が持つ性質を併せて理解することで、洗濯によるダメージを防ぎ、衣類をより長持ちさせることができるでしょう。
ウール素材
ウールは保温性に優れますが、水に濡れると縮みやすい性質を持つデリケートな素材です。
洗濯表示では「手洗い」や「ドライクリーニング」が推奨されることが多く見られます。
摩擦や負荷が大きいと繊維表面が絡み合って縮みを促進するため、洗濯機の場合は弱い水流となる「手洗いコース」や「ドライコース」を選び、中性洗剤を使用しましょう。
乾燥機の熱は縮みの原因となるため、タンブル乾燥は避けるのが基本です。
綿(コットン)素材
綿は吸水性が高く丈夫なため、比較的手入れがしやすい素材です。
家庭の洗濯機で洗えるケースが多いですが、色落ちしやすい傾向もあるため、色の濃い衣類は分けて洗いましょう。
シワになりやすいため、脱水時間を短めに設定し、干す際に形を整えることが大切です。
麻(リネン)素材
麻は通気性が良く、独特のシャリ感が魅力ですが、シワになりやすく、摩擦に弱いという特徴があります。
洗濯する際は、洗濯ネットに入れ「手洗いコース」などの弱い水流で洗うのがおすすめです。
脱水は短時間で済ませ、干す際にはシワをよく伸ばして形を整えます。
液温が高いと縮みやすくなるため、必ず洗濯マークの表示に従って温度を設定しましょう。
絹(シルク)素材
シルクは光沢が美しく、肌触りが良い高級素材ですが、水や摩擦、日光に非常に弱い性質を持っています。
洗濯表示では「手洗い」または「ドライクリーニング」が指定されている傾向です。
家庭で洗うときは、必ずおしゃれ着用の中性洗剤を使い、30℃以下の水で優しく押し洗いしてください。
水分はタオルで吸い取り、形を整えて陰干しで乾燥させましょう。
レーヨン素材
レーヨンはシルクに似た光沢を持つ素材ですが、水に濡れると強度が落ち、縮みやすいという特徴があります。
水洗いが可能かどうかは、必ず洗濯マークで確認しましょう。
洗濯機を使うときは必ずネットに入れ、もっとも弱い水流のコースを選択してください。
洗いとすすぎを1〜2分以内の短時間で済ませ、脱水したら形を整えて陰干しするのが基本です。
ポリエステル素材
ポリエステルは強度が高く、シワになりにくく乾きやすいという、非常に扱いやすい合成繊維です。
家庭の洗濯機で問題なく洗えることが多いですが、稀に水洗いNGのケースがあるので注意しておきましょう。
汚れを吸着しやすい性質があるため、汚れた衣類と一緒に洗うと黒ずみの原因になることがあります。
においや静電気が気になるときは、柔軟剤を使用することである程度抑えられます。
ナイロン素材
ナイロンは摩擦に強く、伸縮性に富む丈夫な素材ですが、熱に弱いという性質があります。
そのため、温度の高い残り湯で洗ったり、高温の乾燥機にかけたりするのは避けましょう。
洗濯後は直射日光を避けて、風通しの良い場所で陰干しするのが最適です。
アクリル素材
アクリルはウールに似た風合いを持ち、ふっくらとして暖かい化学繊維です。
比較的丈夫で縮みにくく、シワにもなりにくいという利点があります。
一方で、静電気が発生しやすく、毛玉(ピリング)ができやすいという特徴も持ち合わせているため、洗濯する際には一定の対策が必要です。
具体的には、洗濯の際は裏返してネットに入れる、柔軟剤を使う、おしゃれ着用洗剤を使う、などの手順が求められます。
洗濯マークに合わせた洗剤の選び方

洗濯で失敗しないためには、衣類に合った洗剤を選ぶことも重要です。
洗濯マークを参考に、一般的な洗剤とおしゃれ着用洗剤の使い分けについて解説します。
1本線の洗濯図柄までは一般的な洗剤
洗濯桶でラインが記載されていない「通常洗い」や、下に1本記載された「弱い水流」が指定されている衣類には、液体もしくは粉末状の一般的な洗濯洗剤が使用できます。
これらの洗剤は洗浄力が高く、皮脂汚れや食べこぼしなどをしっかりと落とすのに適しています。
2本線や手洗いマークはおしゃれ着用洗剤
洗濯桶の下に2本ラインが記載された「非常に弱い水流」や、桶に手が描かれた「手洗い」マークがある衣類には、おしゃれ着用の中性洗剤を使用しましょう。
洗浄力が穏やかで、繊維への負担が少ないように作られているため、デリケートな素材の縮みや型崩れ、風合いの劣化を軽減できます。
柔軟剤の併用はケースごとに判断
柔軟剤は衣類を柔らかく仕上げ、静電気の発生を抑える効果があります。
洗濯する衣類に合わせて使用する形で問題ありませんが、柔軟剤特有の香りも付くため、苦手な方は注意が必要です。
また、おしゃれ着用洗剤には、柔軟剤と同じ効果を発揮する成分が最初から含まれています。
効果が物足りないと感じたら、柔軟剤を併用するといった使い方でも構いません。
洗濯に失敗したときのリカバリー術
細心の注意を払っていても、洗濯で衣類が縮んだり、色が移ってしまったりといった失敗は起こり得ます。
この項目では、こうした万が一のトラブルが発生した際に役立つ、応急処置や修正方法について紹介していきます。
ウール・カシミアなどの縮み対処法
ウールやカシミアが縮んでしまった場合、ヘアトリートメントに含まれる成分を利用して、ある程度回復させることが可能です。
ぬるま湯にトリートメントを溶かし、縮んだセーターを浸して優しく揉み込み、形を整えます。
30分ほど浸したら軽く脱水し、タオルに挟んだ状態で水分を取りながら、平干ししましょう。
アクリルの伸び対処法
アクリル製のニットなどが伸びてしまった場合、熱を加えることで収縮させる方法が有効です。
- 伸びた部分にスチームアイロンのスチームを直接触れないよう少し離して当てる
- 生地が温かいうちに、手で形を整える
- アイロンを約10秒軽く押し当てる
最後の手順でアイロンを当てすぎると、生地を焦がしてしまう恐れがあるため注意して作業しましょう。
色移り対処法
洗濯でほかの衣類の色が移ってしまった場合、濡れているうちに対処することが重要です。
まず、色移りした衣類を50℃程度のお湯に浸し、多めの洗剤と酸素系漂白剤を溶かしてつけ置きします。
1〜2時間ほど様子を見て、色が落ちていれば通常通りに洗濯し直して対処は完了です。
ただし、デリケートな素材や大切な衣類の場合は、自分で対処せずにクリーニング専門店に相談しましょう。
毛玉・静電気の防止法
毛玉や静電気は、衣類の摩擦によって発生します。
これを防ぐためには、洗濯時に衣類を裏返して洗濯ネットに入れることが効果的です。
また、柔軟剤を使用すると繊維の滑りが良くなり、静電気の発生を抑える効果が期待できます。
まとめ
2016年に新しくなった洗濯マークですが、基本となる5つの図形と付加記号の意味を理解し、正確に情報を読み取ることが可能です。
基本的な読み解き方を理解し、素材別の注意点や万が一の対処法まで把握しておくことで、大切な衣類を長く美しく保つことにつながります。
本記事の情報を活用し、日々の洗濯をより的確に行うことで、衣類と上手に付き合っていきましょう。


