喪服と礼服の違いは？着用マナーや選び方についても解説
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喪服や礼服は、立場やシーンに合わせて着用するものですが、喪服と礼服の違いがよく分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、喪服と礼服の違いを分かりやすく解説します。
喪服の着用マナーや選び方についても併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
喪服と礼服の違い
喪服と礼服には、どのような違いがあるのでしょうか。
まずは、それぞれの特徴について解説していきます。
喪服とは
喪服とは、通夜・葬儀・告別式・法事など、弔事に着用する格式高い黒色の衣服のことです。
喪主や遺族、親族だけでなく、参列者や弔問客も着用して参列します。
喪服は故人を偲び、遺族を敬うための服装なのです。
礼服とは
礼服とは、冠婚葬祭やフォーマルシーンで着用するような、礼儀正しい衣服のことです。
着用シーンの重要性を示すものであり、他者への敬意を表すものでもあります。
また、公式的なイベントでも礼服を着用する機会があるため、着用シーンに適した礼服を用意しておくと安心です。
礼服の種類と着用シーン
礼服には、次の3つの格式があります。
正礼装は、一番格式の高い礼服で、昼はモーニングコート、夜は燕尾服が該当します。 近年では、タキシードも夜の正礼装として認められることが増えています。
準礼装は、正礼装の次に格式が高く、該当するのはディレクターズスーツとブラックスーツの2タイプです。
また、略礼装はゲストスタイルであるため、さまざまなシーンに活用でき、ダークスーツがこれに該当します。
ただし、着こなしによってはビジネススーツと間違われることもあるため、注意が必要です。
喪服と礼服は着用シーンが異なる
喪服と礼服の違いは、着用するシーンが異なることです。礼服は冠婚葬祭で着用される正装の総称であり、喪服もその一種です。
喪服は、弔事で着用する「礼服」の一種であり、慶事では着用できません。一方、礼服は慶弔両方で着用できるものを指します。
つまり、喪服は弔事以外のシーンでは着用しません。
喪服と礼服にはそれぞれ格式があり、ふさわしい着用シーンが異なるため、参列する前にマナーを確認しておくことが大切です。
葬儀での喪服の種類と格式
喪服には次の3つの格式があり、故人との関係や弔事によって使い分けるのが一般的です。
喪服の格式や着用シーンについて、詳しく見ていきましょう。
モーニングコートなどの正喪服
正喪服は、喪主や配偶者、近親者（3親等以内）など、故人と関係の深い人が着用する正式な服装です。
男性の正喪服は、モーニングコートが基本となります。
このモーニングコートとは、黒のジャケットにベストとパンツを合わせた3ピースのスーツのことを指します。
なお、シャツは白無地、ネクタイは黒無地を合わせるのがマナーです。
ただし、モーニングコートは昼間の正装とされているため、夕方や夜に行われる通夜の場では着用しないよう注意しましょう。
女性の場合の正喪服は、黒のロングドレスやスーツなどのブラックフォーマルが一般的です。
また、伝統的な和装（黒留袖や色無地の着物）も正式な喪服として認められています。 和装を選ぶ場合は、装飾の少ない黒を基調とし、帯や小物も控えめにするのがマナーです。
さらに、光沢のある素材や、肌の露出が多いデザインは避け、落ち着いた装いを心がけましょう。
ブラックスーツなどの準喪服
準喪服は参列者用ですが、喪主や遺族が着用するケースも多いです。
着用シーンは、葬儀・告別式・一周忌法要となります。
準喪服として着用できるのは、ブラックスーツです。
ブラックスーツは、光沢のない漆黒のスーツのことで、ビジネススーツとは異なります。
ブラックスーツであれば、シングルでもダブルでも問題ありません。
なお、正喪服と同じように、白無地のシャツと黒無地のネクタイを身につけるのが、準喪服のマナーとなります。
女性の場合は、アンサンブルやワンピースなどのブラックフォーマルを着用しましょう。
ビジネススーツなどの略喪服
略喪服は、通夜や三回忌以降の法事で着用します。
亡くなったことを想定していたと受けとられるため、通夜の場には準喪服ではなく、略喪服を着ていくのがマナーです。
略喪服として着用できるのは、紺やグレー、黒のダーツスーツとなります。
ビジネススーツでも構いませんが、派手な色や柄が入っているものは、略喪服にふさわしくありません。
また、平服と指定された場合も、略喪服を着ていきます。
女性の場合はワンピースが略喪服となりますが、仕事帰りの場合は、ダークスーツでも失礼には当たりません。
喪服の基本的な着用マナーと注意点
喪服の基本的な着用マナーと、注意点について解説します。
ネクタイはディンプルを作らない
喪服でネクタイを結ぶとき、結び目の下にディンプルと呼ばれるくぼみを作るのは、マナー違反とされています。
ディンプルは、胸元に立体感や華やかさを演出することが目的であり、葬儀の場には合わないためです。
葬式に参列するときのネクタイの結び方は、結び目が小さくなるプレーンノットか、逆三角形になるウィンザーノットが適切です。
また、ネクタイを固定する役割があるネクタイピンも、華美な装飾と判断されるため、葬儀の間はつけないようにしましょう。
カバンは持たない
男性が葬儀に参加するときは、カバンを持たないのが基本のマナーです。
どうしてもカバンが必要な場合は、できるだけコンパクトなセカンドバッグにしてください。
また、香典や数珠、ハンカチなどの必需品は、喪服のポケットに入れましょう。
なお、女性はバッグを持っていても、マナー違反にはなりません。
ただし、バッグの色は黒で、素材は光沢のない布や革製、シンプルなデザインのハンドバッグを選びます。
シルバーやゴールドの金具がついているものや、目立つブランドロゴが入ったバッグは避けましょう。
アクセサリーは結婚指輪のみOK
葬式につけたまま参列できるアクセサリーは、結婚指輪のみです。
腕時計も外す必要はないですが、派手ではないシンプルなものにしてください。
メガネにも決まりはありませんが、フレームが太くないものや、レンズに色がついていないタイプのものを着用していきましょう。
女性の場合、真珠のネックレスやピアスはつけても問題ありません。
真珠は清楚な印象で、故人への哀悼を象徴する宝石であるためです。
ただし、ピンクやゴールドなどのカラーや、揺れるタイプ、2連以上のデザインのものは避けましょう。
革製品は身につけない
葬式では、革製品を身につけないのが鉄則ですが、光沢のない本革のシューズやベルトはマナー違反とならないケースもあります。
ただし、ワニやヘビの皮は殺生のイメージが強いため、仏教の葬式ではマナー違反とされています。
また、毛皮が使用されているコートやバッグ、手袋も、葬式の場にはふさわしくありません。
革製品ではありませんが、動物の皮を連想させるスエードも、葬式では使用を避けるようにしましょう。
ビジネススーツは兼用できない
黒のビジネススーツであれば、葬式用として兼用できると考える方もいますが、基本的には不適切です。
ビジネススーツの黒と喪服の黒では、色の濃さが違います。
黒のビジネススーツで葬儀の場に行くと、場にふさわしくなく浮いてしまうため、特に故人と関係が近い立場の場合は、ビジネススーツを喪服の代わりに着ていくことはやめましょう。
また、流行のデザインを取り入れているビジネススーツは、悪目立ちしやすいです。
マナー違反で周囲の信用を失わないために、そして喪に服す気持ちを表すためにも、格式のある喪服を一着用意しておきましょう。
喪服の選び方
喪服を選ぶ際には、マナーや場面に合った装いを意識することが大切です。
ここでは、失礼のない喪服を選ぶためのポイントや注意点について解説していきます。
スーツの色は漆黒
喪服の色は、黒が基本です。
なお、黒の色味が濃いほど、格式が高いと判断されます。
喪服として着用するスーツは、漆黒や墨黒と表現されるほどの深い黒であるため、できるだけ濃い黒色のものを選んでください。
また、喪服は光を反射しにくい生地で仕立てられています。
光沢があると安っぽく見えてしまうため、できるだけ光を反射しないスーツを選択しましょう。
デザインはシンプル
スーツのデザインは、流行に左右されないよう、できるだけシンプルなものを選ぶと、長期間着用することができます。
葬式の場で個性を主張する必要はありません。
そのため、スーツの襟はピークドラペル、ボタンはシングルかダブルが無難です。
喪服を裾上げする場合は、モーニングカットかシングル仕上げが一般的となります。
喪服を着る機会はシーズンを問わず訪れるため、春や秋、冬に対応したスリーシーズン用のスーツを選ばれることが多いです。
しかし、夏場に着用する場合は、通気性の良い夏用フォーマルを選ぶのも良いでしょう。喪服を着用する季節やシーンに合わせて、最適なものを選びましょう。
体型に合うサイズを選択する
シルエットはタイトなものではなく、自分の体型に合ったゆとりのあるものを選びましょう。
ビジネススーツは買い替えの頻度が高いため、タイトなシルエットを選んでも問題ありませんが、喪服は動きやすさや着心地を重視して選ぶのがおすすめです。
体型の変化が気になる場合は、パンツの部分にサイズ調整ができるアジャスター付きのタイプを購入しておくと安心です。
ワイシャツは白の無地
喪服のスーツの下に着用するシャツは、白の無地が基本です。
スーツと同じように、光沢のない綿100%のブロード生地のシャツを選んでください。
なお、生地に綾目やドット柄など織柄が入っているタイプは、マナー違反になるので気をつけましょう。
襟の形は、シンプルなワイドカラーやレギュラーカラーが一般的です。
カジュアルな印象が強いボタンダウンや、襟の開きが大きいタイプも葬式の場にはふさわしくないため避けましょう。
また、ボタンやボタンホールに色が入っているものも不適切です。
ワイシャツの袖は半袖ではなく、長袖のワイシャツを着用しましょう。
ネクタイは光沢なしの黒
喪服に合わせるネクタイは、黒で光沢なしのタイプが基本です。
柄があると華美な印象を与えてしまうため、マットな黒を選んでください。
喪服を購入するときに、喪服用のネクタイも合わせて購入しておきましょう。
喪服を着用した後のお手入れ方法
喪服は品質や保管の状態がよければ、10年以上着用することが可能です。
ここでは、喪服を着用した後のクリーニングや保管方法について解説していきます。
すぐにハンガーにかける
喪服を着用した後は、型崩れを防ぐため、家に帰ったらすぐにハンガーへかけてください。
床に置いてしまうと、ホコリがついて汚れたり、シワがついたりしてしまいます。
使用するハンガーは、スーツ用のものを使用しましょう。
スーツ用のハンガーは幅広に作られているため、湿気がたまりにくくなっています。
ブラシをかける
天然繊維が使用されている喪服は、テカリ防止のため、使用後はブラシをかけるのがマストです。
ブラッシングには、着用により寝てしまった表面の毛を起こす目的があります。
化学繊維が使用されている喪服は、テカリを防ぐことができません。
ただし、ホコリやゴミを落とすことはできるため、生地の種類にかかわらず、着用後はブラシをかけることをおすすめします。
着用機会に応じてクリーニングに出す
喪服を着て汗をかいた場合は、クリーニングに出すのが基本です。
汗をそのままにしておくと、汗ジミやカビの原因となってしまいます。
特に、完全に乾いていない状態で保管すると、ダメージが大きくなります。
また、汗をかいた覚えがない場合でも、しばらく着用の予定がない場合には注意が必要です。
目に見えない皮脂汚れや湿気により、生地が劣化する可能性があるため、着用後はクリーニングに出しておくと安心です。
なお、すぐに法要などで再び着用する予定がある場合は、無理にクリーニングに出さなくても構いません。
ただし、次の着用まで期間が空く場合には、必ずクリーニングに出してから保管しましょう。
適切に保管する
喪服がクリーニングから返ってきたら、ビニール製の袋から取り出し、スーツ専用のカバーをかけます。
ビニールのカバーに入れたままにすると、通気性が悪くなり、カビが発生することもあるので注意してください。
カバーをかけたら、ハンガーに吊るした状態にして、通気性のよい場所で保管します。
なお、湿気が気になる場合は、除湿剤を活用しましょう。
迷ったらブラックスーツ
喪服選びに迷ったときは、男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマルを選んでおけばマナー違反になる心配はありません。
男性のブラックスーツは、礼服としての黒いスーツであり、葬儀や法事をはじめ、冠婚葬祭などのフォーマルな場面でも着用可能です。
そのため、一着持っておくと、急な葬儀や法要にも対応でき、いざというときにも安心です。
女性のブラックフォーマルは、黒のスーツやワンピース、ロングドレスなどが基本で、喪の場にふさわしい装いです。
特に、初めて礼服を購入する場合でも、ブラックフォーマルスーツを選んでおけば間違いないでしょう。
まとめ
今回は、喪服と礼服の違いについて詳しく解説しました。
喪服と礼服の大きな違いは、着用するシーンです。
喪服は葬式や法事といった弔事でのみ着用しますが、礼服は結婚式などの慶事を含め、冠婚葬祭全般で着用できます。
故人への哀悼と遺族へ悲しみに寄り添うためにも、葬式では喪服を着用するのが一般的です。
また、ビジネススーツは喪服や礼服の代わりにはなりません。
常識の感じられない身だしなみには、社会的な信用を失ってしまう恐れがあります。
喪服や礼服を着用するときは、着用マナーを守り、フォーマルな場面にふさわしい落ち着いた行動を心がけることが大切です。
