葬式の際に履くべき靴とは？注意点やポイントを徹底解説！

葬式は故人を偲び、最後のお別れをする厳粛な場です。
服装に気を遣う方は多いものの、意外と見落とされがちなのが「靴」のマナーです。
派手すぎるデザインや不適切な素材の靴を履いてしまうと、場の雰囲気を損ねるだけでなく、マナー違反と見なされることもあります。
そこで本記事では、葬式にふさわしい靴の選び方や性別ごとのポイント、正しい靴の管理方法についても解説します。
大切な場で恥をかかないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。

葬式の際に履くべき靴とは？

葬式は故人を悼む厳粛な場であり、服装だけでなく靴にも細やかな配慮が求められます。

色・デザイン・素材の選び方を誤ると、弔意が伝わらないばかりかマナー違反になります。

ここでは葬式にふさわしい靴について詳しくご紹介します。

基本的には黒色の靴を履く

葬式において履く靴は、男女を問わず黒色のものが基本です。

黒は弔意を最も端的に表す色とされ、茶色や濃いグレーであっても黒以外は避けるのが望ましいでしょう。

色むらや光沢が強すぎる黒は控え、落ち着きのあるマットな質感を選びます。

また、装飾があったり、異なる色の差し色が入っていたりするデザインは、お葬式の場には適していません。

家族葬や小規模な葬式では、靴を脱ぐ場面があることもあるため、中敷きや靴の内側の色も派手にならないよう配慮すると安心です。

全体的に黒一色で統一され、上品かつ目立たない靴を準備しておくことがマナーとなります。

シンプルなデザインの靴にする

葬式の場では、目立たず落ち着いた印象を与える靴が適切です。

リボンや金具、ステッチなど装飾の多いデザインは避け、無駄のないプレーンな形を選びましょう。

過度なデザイン性は、参列者自身を引き立てる意図と受け取られかねず、故人を偲ぶ場の趣旨に反します。

また、模様入りや異素材を組み合わせたデザインも避けるべきです。

普段使いの靴であっても、条件を満たしていれば使用可能ですが、新たに用意する場合は冠婚葬祭用として長く使えるベーシックなタイプを選ぶと安心です。

本革か合成皮革の素材の靴にする

葬式に適した靴は、本革や合成皮革など、落ち着きと品位を兼ね備えた素材のものです。

特に本革は質感が柔らかく、光沢も控えめで上品さを演出できます。

一方で、ヘビ革やワニ革など、爬虫類系の型押し素材は「殺生」を連想させるためタブーです。

また、カジュアルな印象を与えるスエードや、派手に光るエナメル素材も避けましょう。

布製の場合は、礼装用に作られた落ち着いた質感のものに限ります。

靴の素材は見た目だけでなく、場の空気を尊重する意味でも重要なポイントとなるため、慎重に選ぶことが大切です。

【男女別】葬式の際に履く靴を選ぶポイント

葬式における靴選びは、男女や年齢によって適した形や配慮すべき点が異なります。

場の雰囲気を乱さず、弔意を適切に示すためには、色・形・素材だけでなく、細部のデザインや機能性にも注意が必要です。

ここでは、男性・女性・子供別にふさわしい靴の選び方を解説します。

男性の場合

男性の場合は、以下の3つが選ぶポイントとなります。

• ・ストレートチップやプレーントゥを選ぶ

• ・内羽根式が多い

• ・靴下も黒色を用意する

それぞれについて詳しくみていきましょう。

ストレートチップやプレーントゥを選ぶ

葬式で男性が履く靴は、装飾のない黒色の革靴が基本です。

特に、つま先に横一文字の切り替えがあるストレートチップは最もフォーマルとされ、格式を重んじる場にふさわしい形です。

切り替えのないプレーントゥも上品で、葬式に適しています。

反対に、穴飾りが施されたウィングチップや、カジュアルな印象を与えるローファー・スリッポンは避けるべきです。

葬式ではおしゃれを主張するのではなく、故人と遺族への敬意を示すために、落ち着いた靴を選ぶことが何よりも大切です。

内羽根式が多い

フォーマルな場では、靴の羽根部分の構造も印象を左右します。

葬式に最もふさわしいのは内羽根式で、紐を解いても羽根が大きく開かず全体がすっきりと見えるため、清潔感と端正さが感じられます。

特にストレートチップとの組み合わせは、格式の高さを保ちながら控えめな印象を与えるため好まれます。

素材は本革か合成皮革を選び、表面は丁寧に磨いておくことが望ましいです。

靴の構造や質感が整っていることで、全体の身だしなみも引き締まり、弔意を表す装いとして適切な足元になります。

靴下も黒色を用意する

靴だけでなく、靴下の選び方も葬式では大切なマナーです。

必ず黒色の無地を選び、柄や派手な装飾は避けましょう。

ブランドロゴや控えめなリブ編みであれば許容されますが、ストライプやアーガイル柄など目立つ模様は不適切です。

また、丈はふくらはぎまで覆う長さが基本で、座ったときに素肌が見える短い靴下は避けましょう。

色やデザインだけでなく清潔感も重要なため、新品またはよく洗濯したものを着用すると良いです。

女性の場合

女性の場合は、以下の4つが選ぶポイントです。

• ・プレーンなラウンドトゥやスクエアトゥを選ぶ

• ・地味なデザインのものを選ぶ

• ・ヒールの高さは5cmまで

• ・黒色のストッキングを着用する

それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。

プレーンなラウンドトゥやスクエアトゥを選ぶ

葬式にふさわしい女性用の靴は、装飾のないシンプルなパンプスが基本です。

つま先が丸みを帯びたラウンドトゥや、直線的なスクエアトゥは、落ち着いた印象を与え、喪の場に適しています。

ポインテッドトゥは洗練されたデザインですが、華美な印象を与えるため避けるのが無難でしょう。

また、つま先が開いたオープントゥやサンダルはフォーマルな場には不向きです。

必要に応じて、控えめなストラップ付きのパンプスを選ぶと、歩きやすく脱げにくいため実用性も兼ね備えられます。

地味なものを選ぶ

デザインや色味は極力控えめにし、葬式にふさわしい落ち着いた印象を心がけましょう。

ストラップ付きのパンプスを選ぶ場合でも、金具や装飾が控えめなものがおすすめです。

素材は本革や合成皮革のマットな質感が好ましく、エナメルやスエードは光沢やカジュアル感が強いため控えましょう。

全体的にシンプルで落ち着いたデザインを選ぶことで、場の雰囲気を損なわず、弔意をきちんと表すことができます。

ヒールの高さは5cmまで

葬式で履くパンプスのヒールは、高すぎず低すぎない3〜5cmが適切です。

ヒールが高すぎると華美に見え、低すぎるとカジュアルな印象を与える可能性があります。

中間の高さを選ぶことで、上品さと歩きやすさを両立できるでしょう。

特に、ヒールに慣れていない方は、太めのローヒールパンプスがおすすめです。

安定感があり、歩く際にヒール音が響きにくいため、葬式の厳粛な雰囲気を損ないません。

デザインはプレーンで控えめにし、全体のバランスを整えることが重要です。

黒色のストッキングを選ぶ

葬式では靴と同じ黒色のストッキングを着用するのが基本です。

肌の露出を避けるためにストッキングを着用しましょう。

その際は、適度に透ける30デニール以下のタイプを選ぶとよいでしょう。

冬場など防寒が必要な場合は、30〜60デニールの薄手のタイツを選んでも問題ありません。

ただし、透け感の無い厚手のものや、ラメ入りや柄付きなどのデザイン性が高いものは避けましょう。

ストッキングは清潔で伝線のない状態を保つことが大切です。

子供の場合

子供が葬式に参列する場合、基本は黒い革靴が望ましいですが、学校指定のローファーや黒に近い濃紺・ダークグレーの靴でも問題ありません。

スニーカーを履く場合も、派手なロゴや装飾がない落ち着いたデザインを選びましょう。

また、幼児（2〜4歳）の場合は履き慣れた靴でも構いません。

ただし、赤や黄色など華美な色は避け、濃い色でシンプルなものを選ぶのが望ましいです。

成長が早く新調しても短期間しか履けないことが多いため、手持ちの靴を活用するか、低価格で落ち着いた色合いの靴を準備すると良いでしょう。

葬式用の靴を選ぶ際の注意点

葬式に履いていく靴は、色やデザインだけでなく、履き心地や機能面にも配慮することが大切です。

長時間の着席や移動が伴うため、サイズや歩きやすさを考慮しないと、不快感や礼儀を欠く事態になりかねません。

ここでは、葬式用の靴を選ぶ際に押さえておくべき注意点なポイントを解説します。

つま先に少し余裕があるサイズにする

葬式用の靴を選ぶ際は、見た目のフォーマルさだけでなく、足のサイズにしっかり合っているかが重要です。

サイズが合わない靴は、歩行時にかかとが浮いたり脱げたりする原因となり、場の雰囲気を乱すだけでなく、自分も不快な思いをします。

理想は、かかとをぴったり合わせた状態でつま先に0.5〜1.5cm程度のゆとりがあるサイズ感です。

購入時は必ず試し履きを行い、数メートル歩いてみてフィット感を確かめましょう。

靴擦れやくるぶしへの当たりも確認し、わずかな不快感がある場合は中敷きで調整することをおすすめします。

ヒールの音にも気を付ける

女性の場合、葬式の場ではヒールの音が響きやすく、静寂を保つべき場面で目立ってしまうことがあります。

特に硬い床面では、カツカツという音が参列者の耳に届きやすいため、かかとから強く着地する歩き方は避けましょう。

また、サイズが大きめの靴や足に合っていない靴も音が響く原因になります。

できるだけ足にフィットする靴を選び、音が気になる場合は靴底に消音用のパッドを貼るなどの工夫も有効です。

歩幅を小さく保ち、足裏全体で着地することで音を抑えられます。

足が不自由な方は歩きやすい靴で問題ない

一般的に女性は葬式でヒール付きのパンプスを履くのがマナーとされていますが、足に不安がある方や妊娠中の方は、無理にヒール靴を履く必要はありません。

転倒の危険や体への負担を避けるため、安定感のあるローヒールやフラットシューズを選びましょう。

目立たないデザインであれば、低めのヒールでも十分フォーマルな印象を保てます。

葬式用の靴の正しい管理方法

葬式用の靴は、以下の方法で日頃から正しく管理しておくことが大切です。

• ・革靴にはクリームを塗る

• ・防水スプレーを掛けておく

• ・シューキーパーを使う

• ・日向での保管は避ける

ここでは、それぞれの管理方法を詳しく解説します。

革靴にはクリームを塗る

革靴は時間の経過とともに乾燥し、表面にひび割れや色褪せが生じやすくなります。

そのため、使用後は必ず汚れを落とし、デリケートクリームやシューズクリームを使って保湿・保護を行いましょう。

手入れの手順は、まず馬毛ブラシで全体のほこりを落とし、次に豚毛ブラシでクリームを丁寧に塗り込みます。

最後に乾いた布や靴磨き用グローブで軽く拭き上げることで、革本来の艶としなやかさを保てます。

定期的なケアを行うことで、革靴は葬式の場にふさわしい美しい状態を長く維持できます。

防水スプレーを掛けておく

革靴は湿気や水に弱いため、防水対策は欠かせません。

葬式後に汚れをきれいに拭き取り、防水スプレーを全体に均一にかけておくことで、カビやシミの発生を防げます。

また、葬式当日に雨が予想される場合は、前日のうちに防水スプレーを施し、十分に乾かしておくことが重要です。

防水加工は水だけでなく油汚れの付着も防いでくれるため、靴の寿命を延ばす効果があります。

スプレーはムラにならないよう、20〜30cmほど離して全体に吹きかけるのがポイントです。

シューキーパーを使う

革靴の型崩れやシワを防ぐためには、履いた後にシューキーパーを入れる習慣をつけましょう。

特に本革は湿気を含むと形が変わりやすいため、靴を脱いだ直後にシューキーパーを入れて形を整えることが大切です。

木製のシューキーパーなら吸湿性も高く、内部の湿気を取り除く効果もあります。

合成皮革の場合も、型崩れ防止のためにプラスチック製のシューキーパーを使用すると良いでしょう。

靴のサイズに合ったものを選ぶことで、長期間きれいなフォルムを保てます。

日向での保管は避ける

靴を保管する際は、直射日光や高温多湿の環境を避けることが基本です。

長時間日向に置くと、革の表面が乾燥してひび割れたり、合成皮革の場合はコーティングが剥がれやすくなったりします。

保管はシューズボックスや下駄箱を利用し、定期的に扉を開けて通気を確保しましょう。

さらに、乾燥剤や防カビ剤を置くことで湿気による劣化を防げます。

少なくとも月に1度は靴を外に出して点検し、早めに汚れや変化に気付くようにすると、葬式用の靴を長く愛用できます。

葬式に相応しくない靴

葬式では男女問わず、カジュアル感や華美な印象を与える靴は避ける必要があります。

男性の場合、ローファー、スリッポン、モンクストラップ、ショートブーツ、スニーカー、そして黒以外の靴は不適切です。

黒色でも、ワニ革やヘビ革など殺生を連想させる素材、スエードや光沢の強いエナメルは避けましょう。

女性の場合、ポインテッドトゥやオープントゥ、ローファー、ミュール、サンダル、スニーカー、黒以外の靴は不向きです。

また、ヒールが高すぎるパンプスや装飾付きの靴も厳粛な場にはふさわしくありません。

全体的に黒一色で、装飾のない落ち着いた靴を選ぶことが大切です。

葬式の靴に関するよくある質問

ここでは、葬式の靴に関するよくある質問をいくつか紹介します。

靴ひもの結び方にはマナーがある？

葬式で紐靴を履く際は、紐をしっかり締める意味を持つ「シングル」で結ぶのが正式です。

これは羽根の紐通しに左右交互で紐を通す方法で、最後に紐の長さを揃えて結びます。

カジュアルな印象を与えるオーバーラップやアンダーラップは避けましょう。

また、靴を脱ぐ場面では紐を解き、履いた後は結び直すのが礼儀です。

紐を解かずに着脱できてしまう場合は靴が合っていない可能性があり、だらしない印象を与えるため注意が必要です。

葬式用の靴はどこで買うのが良い？

葬式用の靴は、専門店やデパート、通販などで入手できますが、初めて購入する場合は喪服やスーツを扱う専門店がおすすめです。

専門店であれば葬式に適した靴も揃っており、喪服と合わせながら選べるため安心して購入できます。

専門店では品ぞろえが豊富な分、意図せず葬式に不向きな素材やデザインを選んでしまう可能性もあるため、購入時には注意が必要です。

購入の際は、喪服用としてふさわしいかを確認することが大切です。

ただし、品質面では専門店の靴は長持ちしやすく、フォーマルな場で安心して長く使えます。

まとめ

本記事では、葬式にふさわしい靴の選び方や性別ごとのポイント、正しい靴の管理方法まで詳しく解説しました。

葬式で履く靴は、参列者の立場や年齢にかかわらず、故人や遺族への敬意を表すために色・素材・デザインを慎重に選ぶ必要があります。

基本的には男女問わず、黒一色で光沢の少ない革または布製、装飾のないシンプルな靴が望ましいとされています。

男性はストレートチップやプレーントゥ、女性はプレーンなラウンドトゥやスクエアトゥが無難です。

素材は本革や合成皮革が適しており、ワニ革やヘビ革、エナメルなど派手な印象や殺生を連想させるものは避けましょう。

安心して葬式に臨むために、まずは自分の靴をチェックして、必要に応じて準備を整えてみてください。