喪服を着るときのネクタイの結び方は?葬儀に参列する際のマナーについて解説

喪服を着るときのネクタイの結び方は?葬儀に参列する際のマナーについて解説

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ネクタイは利用シーンにより、適切な結び方が異なります。
中でも、葬式に参列するときは、どのような結び方が推奨されているのでしょうか。
本記事では、喪服を着用する際のネクタイの正しい結び方について、詳しく解説します。
喪服のネクタイマナーや、喪服でネクタイを着用する際の注意点についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

喪服を着用するときのネクタイの結び方

喪服を着用する際には、ネクタイの色だけでなく、結び方にも気を配る必要があります。

ここでは、喪服を着用するに当たり、正しいネクタイの結び方について解説していきます。

プレーンノット

プレーンノットは、結び目が小さくコンパクトにまとまる基本的な結び方です。

シンプルかつクセがない結び方のため、ビジネスやカジュアル、冠婚葬祭など、あらゆるシーンで使える万能なスタイルです。

結び方も比較的簡単なことから、ネクタイに不慣れな方や、急いで準備する必要があるときにもおすすめです。

プレーンノットの結び方

プレーンノットの結び方は、次のとおりです。

1.ネクタイを首にかける

2.大剣を上にしてネクタイのつなぎ目で交差させる

3.大剣を小剣の裏側にまわす

4.裏側に回した大剣を前に巻きつける

5.大剣を内側にくぐらせて巻きつけた輪に通す

6.大剣を下に引く

小剣を引っ張って、ネクタイの長さと位置を調整する

結び目は、固く小さくなるように整えるのがポイントです。

もし緩んでいると、だらしない印象を与える原因となるため、注意しましょう。

ウィンザーノット

ウィンザーノットは、左右対称の美しい三角形の結び目が特徴的な、クラシカルな結び方です。

結び目にボリュームが出るため、襟の広いワイドカラーシャツと相性が良く、きちんとした印象を与えたい場面に適しています。

イギリス発祥のこのスタイルは、ビジネスのほか、葬儀や結婚式などのフォーマル・セミフォーマルなシーンにも対応可能です。

ウィンザーノットの結び方

ウィンザーノットの結び方は、次のとおりです。

1.小剣を短めにとる

2.大剣が前にくるようにクロスさせ小剣の裏側にまわす

3.大剣を首の上から通す

4.通した大剣をしめて形を整える

5.大剣を前から回して首の下に通す

6.輪になった部分に大剣を上から通す

7.小剣を引きながら結び目を整える

結び目は、左右対称の美しい三角形になるように整えるのがポイントです。

しっかりと形を整えることで、知的で誠実な印象を与えられます。

結び慣れていない場合はジッパータイ

ネクタイが上手に結べるか不安な場合は、首にかけてジッパーをしめるだけのジッパータイを活用するのも、一つの手段です。

実際、礼装用ジッパータイも販売されており、見た目で周囲がジッパータイと分かることもありません。

着脱も簡単なため、ネクタイが苦手な方は1本常備しておくと便利でしょう。

喪服に適したネクタイの選び方

喪服に合わせるネクタイは、色や素材、柄の有無などに配慮することが大切です。

ここでは、喪服に適しているネクタイの選び方について解説していきます。

色は濃い黒

葬儀に適したネクタイの色は、基本的に「黒」のみです。

色の濃さは、故人への深い想いを示すとされており、できるだけ「漆黒」に近い濃い黒を選ぶのが望ましいとされています。

そのため、明るすぎる黒やグレーがかった色は避け、落ち着いた濃黒を選びましょう。

長さはベルトの中間

葬儀にふさわしいネクタイの長さは、結んだときに大剣(ネクタイの太い方の先端)がベルトのバックルにかかる位が理想です。

身長に合わせてネクタイを選ぶときの目安となる長さは、次のとおりです。

身長ネクタイ
165cm140~145cm
170cm145~155cm
175cm155~165cm
180cm160~170cm

ただし、首回りの太さや体格によっても適切な長さは変わります。一般的な既製品の長さは140cm〜145cm程度ですが、体格によってはロングタイ(150cm以上)を選ぶと良いでしょう。購入時には実際に合わせて確認することをおすすめします。

長すぎたり、短すぎたりすると、だらしない印象を与えてしまうので、適切な長さのネクタイを選んで、整った装いを心がけましょう。

柄・デザインは無地

喪服に合わせるネクタイは、お悔やみの気持ちを表すためにも、無地のシンプルなデザインが基本です。

中には刺繍やストライプなど、柄入りネクタイも販売されていますが、葬儀の場にはふさわしくありません。

可能な限り無地のネクタイを選び、控えめで落ち着いた装いを心がけましょう。

太さはレギュラータイ

葬儀で着用するネクタイの幅は、大剣(太い方の先端)が7〜9cmのレギュラータイが最適です。

ビジネスシーンでも、レギュラータイが一般的によく使われています。一方、ラペル幅の細いスーツに合わせてナロータイを選ぶ方もいますが、大剣が6.5cm以下のナロータイは細すぎてカジュアルな印象が強くなるため、葬儀の場には適していません。

したがって、喪服に合わせるネクタイの幅は、ビジネス用ネクタイとしても汎用性が高いレギュラータイを選ぶと良いでしょう。

素材は光沢感の少ないシルク

喪服にふさわしいネクタイの素材は、光沢感が控えめなシルクが最適です。

ポリエステルやレーヨンは光沢が強く、場にそぐわない悪目立ちをするため、避けたほうがよいでしょう。

また、リネン・ウール・コットンは光沢がないものの、カジュアルな印象が強いことから、葬儀の場にはあまり適していません。

喪服に合わせるネクタイでは、格式ある場にふさわしい素材選びが重要です。

宗派に合わせる場合もある

日本では白いネクタイを慶事に、黒いネクタイを弔事に用いるのが一般的ですが、宗教によっては弔事に白ネクタイを着用する場合もあります。

故人の宗派により「葬儀」に対する考え方や儀礼の形式が異なるため、あらかじめ喪主や遺族にネクタイの色について確認しておくと安心です。

葬式に参列するときのネクタイマナー

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葬儀の場では、服装のマナーが非常に重要です。

中でも、ネクタイは第一印象に大きく関わるポイントの一つです。

ここでは、葬式に参列する際に押さえておきたいネクタイマナーの基本について、分かりやすく解説していきます。

ネクタイは必ずつける

葬儀にノーネクタイで参列することは、マナー違反とされています。

暑い季節であっても、ネクタイを外すことは基本的に認められません。

そのため、急に参列することになった場合でも、必ずネクタイを着用して臨みましょう。

ディンプルを作らない

喪服を着て葬儀に参列する際は、ネクタイの結び目に「ディンプル」と呼ばれるくぼみを作らないようにしましょう。

ディンプルは、ネクタイに立体感と華やかさを加える結び方であり、結婚式や入学式といったお祝いの場に適しています。

一方、葬儀のような厳粛な場では、控えめで落ち着いた印象を保つため、ディンプルは避けるのがマナーです。

ネクタイピンをつけない

葬儀に参列する際は、ネクタイピンをつけてはいけません。

告別式や通夜、法事などの弔事において、ネクタイピンをつけることはマナー違反となります。

ネクタイピンが葬儀で避けるべき理由は、着飾るものとみなされるためです。

なお、ポケットチーフやカフスボタンも葬儀の場には適さないため、事前に外しておきましょう。

葬儀で着用できるアクセサリーは、結婚指輪とパールのみとなります。

真珠は涙の象徴として着用が許されており、光沢がなく7mm以下の真珠のネクタイピンであれば、葬儀の場でも使用できるでしょう。

合わせるシャツは白無地

喪服の下に着用するシャツは、白無地のシンプルなワイシャツが一般的です。

襟の形は、レギュラーカラーかワイドカラーを選びましょう。

どちらも汎用性が高く、ビジネスシーンでも着用できるワイシャツです。

一方、ボタンダウンのワイシャツは、葬儀に不向きとなります。

ボタンダウンは、ノーネクタイでも対応できるデザインであることから、カジュアルすぎる印象が強いためです。

また、ワイシャツは光沢感のある生地だと目立ってしまうため、綿などのなめらかな素材を選ぶようにしましょう。

法事のシーン別の服装マナー

法事には、初七日や一周忌、三回忌など、さまざまな節目があります。

それぞれの場面にふさわしい服装マナーを知っておくことで、失礼のない装いができます。

ここでは、法事のシーンごとに適した服装のポイントを解説していきます。

初七日

初七日とは、故人が亡くなってから数えて7日目に行う法要のことです。

初七日に参加する場合は、次のような服装が適しています。

男性女性
・ダークカラー(黒・紺)のスーツ ・無地の白シャツ ・黒無地のネクタイ ・ベルト ・革靴・ダークカラーのスーツまたはワンピース ・ダークカラーのトップス ・黒いストッキング ・パンプス

ベルトや革靴、パンプス、バッグなどの小物は、ダーク系のシンプルなものを選び、全体の統一感を保ちましょう。

また、男性は金具などの装飾品を控え、女性は肌の露出をできるだけ避けることがマナーです。

一周忌

一周忌は、故人が亡くなってから1年目の命日に行う法要のことです。

一周忌法要に参加する場合は、次のような服装が適しています。

男性女性
・喪服 ・無地の白シャツ ・黒無地のネクタイ ・ベルト ・革靴・礼服(ブラックフォーマル) ・黒いストッキング ・パンプス

男性の場合は、喪服を着用するのが基本であり、ジャケットとパンツを濃い黒で統一してください。

喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3種類がありますが、法事に親族として参列する場合は、準喪服以上が望ましいとされています。

一方、女性の場合は、ブラックフォーマルと呼ばれる礼服を着用します。

アンサンブルやツーピース、ワンピースなどの種類がありますが、腹部の露出が多いデザインは避けましょう。

袖のあるジャケットや、ブラウスを合わせるのが基本です。

また、胸元が大きく開いたデザインや、スカート丈が膝上のものはマナー違反とされるため、注意が必要です。

三周忌

三周忌は、故人が亡くなってから満2年目に行われる法要のことです。

三周忌法要に参加する場合は、次のような服装が適しています。

男性女性
・ブラックスーツ ・無地の白シャツ ・黒無地のネクタイ ・ベルト ・革靴・礼服(ブラックフォーマル) ・黒いストッキング ・パンプス

男性は、光沢のない無地のブラックスーツを着用するのが基本です。

ジャケットは、シングル・ダブルどちらでも可とされており、好みに応じて選んでも問題ありません。

また、シャツは白無地のワイシャツ、ネクタイは黒無地のものを合わせましょう。

なお「平服でお越しください」と指定された場合は、黒・グレー・紺などのダークスーツでも構いません。

ただし、派手な色や柄は避け、落ち着いた装いを心がけましょう。

女性は、光沢のないブラックフォーマルのワンピースやアンサンブル、ツーピースを着用します。

パンプスやバッグは、シンプルなデザインでダークカラーのものを選ぶのがマナーです。

ストッキングは、30デニール以下の薄手の黒を着用してください。

具体的には、肌がうっすらと透ける程度が適切とされます。

喪服用のネクタイの購入先

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喪服用の黒ネクタイは、いざというときに慌てず対応できるよう、あらかじめ準備しておくのが理想です。

ここでは、購入できる主な場所や、それぞれの特徴について紹介していきます。

豊富な選択肢から選ぶなら紳士服専門店や百貨店へ

時間に余裕がある場合は、紳士服専門店や百貨店での購入がおすすめです。

素材や幅、結びやすさなど、黒ネクタイにもさまざまなバリエーションがあり、自分に合った一本をじっくりと選ぶことができます。

また、喪服の購入も併せて検討している方は、信頼と実績のある専門店を利用することにより、安心して選ぶことができるでしょう。

喪服の購入をご検討の方はこちら!

緊急時には100均やコンビニで

突然の訃報で急いで参列しなければならない場合、100円ショップや一部のコンビニエンスストアでも、喪服用の黒ネクタイを購入できます。

デザインや品質はシンプルで最低限のものですが、急な場面での対応としては、十分に役立つでしょう。

大人のマナーとしてそろえたい、上質な喪服用ネクタイ

社会人として、上質な黒ネクタイをあらかじめ1本持っておくことは、大人のたしなみともいえるマナーの一つです。

例えば、シルク素材で光沢を抑えた落ち着いたデザインのものならば、格式ある場にもふさわしく、安心して着用できます。

また、突然の訃報にも慌てず対応できるよう、喪服と併せて日頃から準備しておくとよいでしょう。

まとめ

今回は、喪服を着用するときのネクタイの結び方について解説しました。

喪服に適した結び方は、シンプルで格式を感じさせる「プレーンノット」か「ウィンザーノット」が基本です。

これらは、ビジネスやフォーマルな場面でも幅広く使える結び方です。

また、喪服を着用する際は、ネクタイのマナーも重要となります。

ネクタイピンをつけたり、ディンプルを作ったりすることは、マナー違反となるため避けてください。

さらに、法事の種類によって服装マナーが異なることもあることから、ネクタイの結び方や着用マナーを含めて、事前にしっかりと確認しておきましょう。