法事の正しい服装とは？喪服の3つの種類やマナーなどを徹底解説！

法事に参列する際、どのような服装を選べばよいか迷った経験はありませんか。
喪服にはいくつかの種類があり、法要の時期や規模によって適切な服装も異なります。
また、法事と葬儀・通夜の違いや、男女別・年齢別のマナーについても正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、喪服の種類や法事の種類に応じた服装の選び方、基本的なマナー、さらには持参すべきものまで、法事に関する服装の基礎知識を解説します。
故人やご遺族への敬意をしっかりと表すために、正しい装いで臨みましょう。

正しい法事の服装とは？

法事は故人を偲び、ご遺族や参列者が集う大切な儀式です。

立場や時期に応じた喪服の選び方やマナーを知ることで、礼を尽くした装いができます。

ここでは、正しい法事の服装や法事と法要の違いについて解説します。

法事の服装は喪服が一般的

葬儀や法事などの弔事では、黒を基調とした喪服が基本です。

喪服とは冠婚葬祭で用いられる礼服のうち、弔事に着用する正装を指します。

色や素材、仕立ての違いにより、正喪服・準喪服・略喪服に分かれ、立場や場面によって使い分けます。

親族側は式全体の格を保つために高い格式のものを選び、参列者はそれより控えめな装いを選ぶのがマナーです。

近年は法事の規模や形式も多様化しており、小規模な集まりでは略喪服や濃い色の平服が許容される場合もあります。

ただし、基本は落ち着いた色とデザインでまとめ、清潔感と厳粛さを意識することが重要です。

法事と法要の違い

法事と法要は似た言葉ですが意味が異なります。

法事は、葬儀後の初七日、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌など、節目ごとに行われる供養の儀式全体を指し、僧侶による読経や焼香に加え、その後の会食まで含まれます。

一方、法要は僧侶が経を読み供養する儀式そのものを指す言葉です。

法事には宗派や地域ごとのしきたりがあり、三十三回忌や五十回忌をもって弔い上げとするケースもあります。

こうした場は、故人の冥福を祈るだけでなく、ご遺族や親しい人が集い心を整える機会でもあります。

そのため、服装や立ち居振る舞いにも十分配慮し、儀礼を欠かさないことが大切です。

喪服には3種類ある

喪服は格式によって「正喪服」「準喪服」「略喪服」に分けられます。

法事や葬儀では、立場や時期に応じてこれらを使い分けることが大切です。

ここでは、それぞれの特徴と着用シーンなどを詳しく解説します。

正喪服

正喪服は、喪服の中でも最も格式の高い服装で、主に喪主や三親等までの近親者が着用します。

着用する場面は通夜や葬儀、そして三回忌までの法事が中心です。

男性は和装なら紋付羽織袴、洋装ならモーニングコートが正式とされ、女性は黒紋付の着物やブラックフォーマルが一般的です。

和装の方が洋装より格が高いとされていますが、現代ではモーニングや着物を所有する人が減り、親族側でも準喪服を着用するケースが増えています。

それでも、正式な場や格式を重んじる法事では、正喪服を着ることが故人への最大限の敬意を示す手段となります。

準喪服

準喪服は、最も広く使われる標準的な喪服で、立場を問わず多くの弔事に対応できます。

葬儀や法事に参列する一般の参列者は、準喪服を着ていればほとんどの場合問題ありません。

本来は喪主や親族は三回忌まで正喪服を着用するのが正式ですが、近年では親族側も準喪服を選ぶケースが多くなっています。

男性は光沢のない黒のスーツに黒いネクタイ、女性はシンプルなブラックフォーマルを着用します。

素材やデザインは控えめにし、アクセサリーは黒で統一するのが基本です。

準喪服は格式と実用性のバランスが取れた喪服といえるでしょう。

略喪服

略喪服は、格式を抑えた喪服で、三回忌以降の法事や「平服でお越しください」と案内された際に適しています。

男性は黒や濃紺、チャコールグレーなどの暗色系スーツに無地のネクタイを合わせるのが一般的です。

女性は同系色のワンピースやアンサンブル、スーツなどを選びます。

派手な装飾や光沢のある素材は避け、全体的に落ち着いた印象にまとめることが大切です。

また、略喪服は主に参列者が着用し、ご遺族や主催者側は原則として三回忌までは着用を避けるのがマナーです。

服装の自由度は高いとはいえ、色味や装飾には十分注意し、あくまで弔事にふさわしい雰囲気を意識しましょう。

法事の種類によって喪服が異なる

法事では、行われる時期や回忌によって選ぶべき喪服の格式が変わります。

葬儀直後の法要では最も厳粛な服装が求められますが、年数が経つにつれて格式はやや緩和されていきます。

それでも、故人を偲び敬意を表す場であることに変わりはないため、立場や慣習に合った装いを心がけることが大切です。

ここでは、代表的な法事の種類と、それぞれにふさわしい服装について詳しく解説します。

初七日の服装

初七日は、命日から7日目に営まれる法要で、仏教では故人が三途の川に辿り着く日と考えられています。

多くの場合、葬儀と同日に行われるため、服装も葬儀と同様に整えるのが一般的です。

喪主や近親者は正喪服または準喪服を着用し、参列者は準喪服で問題ありません。

男女とも黒無地の服装を基本とし、靴やバッグなどの小物も黒で統一します。

特に親族は、参列者より格式が劣らないよう、服装に十分配慮することが大切です。

近年では簡略化されることもありますが、初七日は故人への供養の第一歩となる儀式です。

厳粛な装いを心がけましょう。

四十九日の服装

四十九日は、命日から49日目に行われる重要な節目の法要で、仏教ではこの日に故人が極楽浄土へ旅立つとされます。

ご遺族にとっては喪明けとなる日であり、「忌明け法要」とも呼ばれます。

そのため、服装も初七日や葬儀と同様に、格式のあるものが求められます。

喪主や親族は正喪服か準喪服を着用し、参列者は準喪服が適切です。

靴やバッグ、アクセサリーは黒で統一し、光沢のある素材や派手な装飾は避けましょう。

会食が伴う場合でも、儀式まではきちんとした服装で臨み、着席後もだらしなく見えないよう姿勢や所作に気を配ることが大切です。

百箇日の服装

百箇日は、命日から100日目に営まれる法要で、「卒哭忌（そっこくき）」とも呼ばれます。

悲しみの中で過ごす期間を終え、少しずつ日常生活に戻っていく節目とされます。

近年では省略されることも多く、実施する場合も近親者のみで簡素に営まれることが一般的です。

服装は準喪服が基本ですが、家族だけで行う場合や簡易的な形であれば略喪服でも差し支えありません。

ただし、黒や濃紺、ダークグレーなど落ち着いた色合いを守り、柄物や光沢感のある素材は避けましょう。

規模が小さい場合でも、故人を偲ぶ気持ちが伝わる装いを意識することが大切です。

一周忌の服装

一周忌は、故人が亡くなってからちょうど1年後に行われる法要で、喪中期間の終わりを告げる節目でもあります。

この日はご遺族や親族に加え、故人の友人や知人が参列することも多いため、服装は準喪服が基本です。

喪主や親族は正喪服を選ぶこともありますが、近年では準喪服で統一するケースも増えています。

男女ともに、黒無地のスーツやワンピースを着用し、光沢のある生地や派手な装飾は控えましょう。

バッグや靴も黒でまとめ、全体的に落ち着いた印象を保つことが重要です。

一周忌は比較的大規模に営まれることが多いため、格式を意識した装いが求められます。

三回忌の服装

三回忌は、命日から満2年目に行われる年忌法要です。

「三回忌」という名称から3年後と誤解されやすいので注意が必要です。

本来、三回忌まではご遺族・親族は正喪服か準喪服を着用し、参列者は準喪服が適切とされています。

ただし、最近では家族だけで小規模に行うケースや、地域の慣習によって、参列者が略喪服を着用することもあります。

服装を決める前に、施主や地域のしきたりを確認しておくと安心です。

いずれの場合も黒を基調とし、全体をシンプルかつ落ち着いた印象にまとめ、場の雰囲気を損なわない装いを心がけましょう。

七回忌以降の服装

七回忌は、命日から満6年目に行われます。

故人が亡くなってから三度目の年忌法要であり、以降は徐々に規模も簡素になっていきます。

この頃になると、ご遺族も参列者も略喪服を着用するのが一般的です。

黒のほか、濃紺やダークグレーなども許容され、全体的にやや柔らかい印象の装いが増えます。

ただし、柄物や光沢の強い素材は避け、地味で落ち着いた色合いを選びましょう。

七回忌以降は法要後の会食や親族の集まりが中心となるため、動きやすさや快適さを考慮しつつ、礼儀を保った装いが望まれます。

葬儀・通夜の服装

葬儀や通夜は、法事の中でも最も厳粛な儀式であり、服装マナーも最も厳格です。

喪主やご遺族は正喪服を着用し、参列者は準喪服を選びます。

主催者側は必ず参列者より格上の服装を整えることが原則です。

男性は和装なら紋付羽織袴、洋装ならモーニングコート、女性は黒紋付の着物やブラックフォーマルが適切です。

靴やバッグ、アクセサリーもすべて黒で統一し、光沢のある素材や派手な装飾は避けましょう。

厳かな場にふさわしい身だしなみを整えることが、最大の礼儀であり、故人への敬意にもつながります。

男女別の喪服のマナー

法事や葬儀の場では、男女それぞれに求められる喪服のマナーがあります。

色や素材の選び方、装飾の有無、身だしなみの整え方などを誤ると、知らず知らずのうちに失礼になる場合もあります。

ここでは男性・女性・子供別に、服装の基本ポイントと注意すべき細かなマナーを解説します。

男性の場合のマナー

男性の喪服は、光沢のない黒の生地を用いた礼服が基本です。

ビジネススーツやリクルートスーツはポリエステル混で光沢が出やすく、正式な場には不向きです。

また、スーツのパンツの裾はシングル仕上げがマナーです。裾が折り返されているダブル仕上げは、カジュアルな印象やスポーティーなイメージが強まるため、厳粛な弔事の場では避けるべきとされています。

シャツは白無地のものを選び、柄や色つきステッチは控えましょう。

襟はレギュラーカラーかワイドカラーが基本で、ボタンダウンはカジュアル感が出るため、避けるようにしてください。

また、基本的にカバンは持たず、数珠や財布、ハンカチなど必要最小限の荷物は内ポケットやズボンのポケットに収めます。

やむを得ず持参する場合は、装飾のない黒の手提げやクラッチ型を選びましょう。

女性の場合のマナー

女性の喪服は、露出を控えた落ち着いた装いが基本です。

襟元は鎖骨が隠れる程度、袖丈は肘が隠れる長さ、スカートは膝下が目安です。

夏場でもノースリーブは避け、半袖や五分袖に軽めのジャケットを羽織りましょう。

また、ストッキングは黒無地で30デニール以下が原則ですが、寒冷地や体調面に配慮が必要な場合は例外も認められます。

透け感や柄物は控え、全体を落ち着いた印象にまとめることが大切です。

アクセサリーは、涙を象徴するとされる真珠が定番です。

色はホワイト、グレー、ブラックが適切ですが、二連やロングタイプは不幸が続く悲しみが長引くと連想されるため避けましょう。

子供の場合のマナー

子供の服装は、大人ほど厳格ではありませんが、落ち着いた色合いと清潔感を意識します。

幼児や赤ちゃんは黒や白、グレー、ベージュなど控えめな色の服で問題ありません。

学生の場合は、学校の制服が正式な喪服と見なされます。制服がある場合は、それを着用するのが最も適切です。

制服がない場合は、白シャツに黒や紺のズボン・スカート、必要に応じてジャケットを着用しましょう。

靴下や靴は黒・紺・白など派手でない色を選びます。

子供は成長が早く、サイズの合わない服だとだらしなく見えるため、事前に試着して整えておくことが大切です。

法事で持参するべきもの

法事に参列する際は、服装と同じく持ち物にも気を配る必要があります。

お供え物や御供物料、数珠などは、故人やご遺族に対する礼節を示す大切な品です。

当日になって慌てないよう、事前に準備と確認を行いましょう。

お供え物（供物料）

かつては果物や線香、生花などを直接持参するのが一般的でしたが、近年は現金を「御供物料」として包む形が主流です。

葬儀で渡す「香典」と区別し、法事では御供物料と呼びます。

金額は会食の有無や故人との関係によります。知人で会食がない場合の香典金額は、相場として3,000〜5,000円程度で、葬儀時の香典額の5〜7割を目安にするとよいでしょう。

お金は不祝儀袋に入れ、紺や緑など寒色系の弔事用袱紗で包みましょう。

紫の袱紗は慶事・弔事の両方で使えるため、一つ持っておくと便利です。

数珠

法事は故人を供養するための法要が中心であり、焼香や読経の場面では数珠が欠かせません。

数珠を忘れると礼を欠く印象を与えるため、前日までに必ず準備しましょう。

数珠は宗派ごとに形や珠の数が異なるため、自分の宗派に合ったものを選ぶことが大切です。

宗派が分からない場合は、宗派を問わず使える略式数珠を用意しておくと安心でしょう。

持参するときは袋や袱紗に包んで清潔に保ち、使用しないときも丁寧に扱いましょう。

小さな持ち物だからこそ、出かける前の持ち物チェックリストに入れておくと安心です。

法事の服装に関するよくある質問

ここでは、法事の服装に関するよくある質問をいくつか紹介します。

法事の服装を選ぶ際に気をつけるべき点は？

法事では、施主やご遺族よりも格式の高い服装を避けるのが基本的なマナーです。

例えば、施主が正喪服を着用している場合、参列者は準喪服や略喪服で問題ありません。

しかし、施主が平服で参列しているのに、弔問客が正喪服を着ると「格上」となり、かえって失礼にあたります。

どの段階で平服に切り替えるかは明確な基準がなく、判断が難しい場合もあります。

その際は、案内状や招待ハガキの記載を確認しましょう。

四十九日までは遺族・親族は正喪服または準喪服、参列者は準喪服を着用しましょう。

一周忌以降は平服が目安ですが、案内状に服装の指定があればそれに従うのが無難です。

法事の服装はどこで買えば良い？

喪服や略喪服は、デパートやショッピングモール、専門店、インターネット通販などで購入できます。

実際の質感やサイズ感を確認したい場合は、店舗で試着するのがおすすめです。

一方で、時間が限られている場合や急な法事では、通販を利用すれば自宅でゆっくり選べ、配送もスムーズです。

通販サイトでは価格帯やサイズ展開も幅広く、レビューを参考にできる点も大きなメリットです。

購入後は長期保管に備えて防虫対策を施し、定期的に試着してサイズや状態を確認しておくと、急な参列にも慌てず対応できるでしょう

平服でお越しくださいと言われた場合は？

弔事における「平服」は、普段着ではなく略喪服を指します。

黒や濃紺、ダークグレーなどの落ち着いた色合いが基本で、男性は無地のスーツ、女性はワンピースやアンサンブルが無難です。

「平服でお越しください」と指定されるのは、四十九日以降の百箇日、一周忌、三回忌などが多く、施主やご遺族の服装との格差を避けるための配慮でもあります。

普段着に近いカジュアルな服装や、柄物・明るい色は控えましょう。

アクセサリーや小物も控えめにし、全体として落ち着きと品のある装いを意識することが大切です。

まとめ

本記事では、法事の種類に応じた服装選びや喪服の種類、男女別・年齢別のマナー、さらに持参するべき品までを詳しく解説しました。

喪服には正喪服・準喪服・略喪服の3種類があり、それぞれの立場やマナーなど細かな着用ルールがあります。

参列前には案内状や地域の慣習を確認し、場にふさわしい服装を選ぶことが大切です。

服装のマナーを守ることは、故人とご遺族への敬意を示す大切な礼儀です。

本記事を参考に、正しい服装選びとマナーで故人とご遺族に敬意を示しましょう。