御社と貴社の違いとは？面接やメールで間違えないための使い方を解説

就職活動や転職活動をしていく中で「御社」と「貴社」の違いがよく分からず、間違えて使ってしまった経験のある方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「御社」と「貴社」の違いについて、例文とともに分かりやすく解説します。
また、もし間違えてしまった場合の対処法や、注意点も併せてご紹介いたします。
これから就職や転職活動を始める方は、ぜひ本記事を参考にして、正しい使い分けを身につけましょう。

御社と貴社の違い

ビジネスの場では、相手の会社を指す際に「御社」や「貴社」を使うことが多いですが、就職活動や転職活動において、どちらを使うべきか迷う方も多いかもしれません。

これらの違いを簡単に一言で説明すると「使う場面と方法」です。

まずは、以下の表をご覧ください。

御社	電話での会話、面接時、OB/OG訪問 会社説明会などの直接対面や口頭でのやりとり
貴社	メール、エントリーシート 履歴書などの文書でのやりとり

このように「御社」は口頭で話す時に使い、「貴社」は文章で書くときに使うのが一般的です。

それでは、なぜ使い分けが必要なのか、その理由を具体的に解説していきます。

「話す」「書く」の違いで使い分ける

「御社」と「貴社」の違いは、使う方法にあります。

具体的には、口頭で「話す」場合と、文字で「書く」場合で異なります。

つまり、直接会話や電話で話すときは「御社」を使い、メールや書面で相手の会社を示すときは「貴社」を使うのが基本ということです。

御社の使い方

電話や対面で話すときは、相手の会社を指して「御社」と言います。

就職活動や転職活動では、会社説明会で質問をしたり、面接の質疑応答でその会社について話したりする際に「御社」を使うのが一般的です。

貴社の使い方

一方「貴社」は、メールや履歴書といった書面で相手の会社を表すときに使う書き言葉です。

例えば、会社説明会で質問する際は話し言葉として「御社」を使いますが、説明会後のアンケートや履歴書の志望動機欄など、文字で記入する場面では「貴社」を用います。

御社と貴社の違いを場面別に例文でチェック

「御社」と「貴社」の違いは、会社説明会や志望動機など、就職活動のさまざまな場面で使い分けが必要です。

しかし、文章のみでは分かりにくいため、ここでは例文を用いて確認していきます。

例文を参考にしながら、両者の違いをしっかりと押さえておきましょう。

会社説明会

会社説明会の会場で直接質問をする場合は「御社」を使います。

例えば「御社の商品にはどのような特徴がありますか？」のように話すのが一般的です。

一方、オンライン説明会において、チャットなどの文字で質問をする場合は、書き言葉として「貴社」を使います。

したがって、「貴社の商品にはどのような特徴がありますか？」となります。

このように、同じ質問内容でも「話す」「書く」で使い分けが必要です。

志望動機

志望動機は、面接やエントリーシートの両方で伝える必要があります。

口頭で話すときには「御社」を使い、書類などの文書では「貴社」を使い分けることが適切な敬称表現となります。

それでは、具体的な例文を見てみましょう。

面接で話す場合は「私が御社を志望する理由は、御社の〇〇に魅力を感じたためです。」と言います。

一方、エントリーシートや履歴書に記入する場合は「貴社の〇〇に魅力を感じたために志望いたしました。」と書きます。

書き言葉では話し言葉の「御社」を「貴社」に変えるだけでなく、文章として自然となるよう、少し調整することが望ましいです。

また、履歴書やエントリーシートの志望動機欄では、端的に記載するのが基本ですが、面接では志望動機を含めた自己紹介を求められることもあります。

その場合は「私が御社を志望した理由は」といった導入を付けることで、話の流れが分かりやすくなります。

面接では「御社」を繰り返す機会が多くなることがあるため、使い分けのポイントをしっかり理解しておくことが重要です。

さらに、志望動機は口頭と文書で同じ内容を伝えることが多く、つい混同しやすくなることから、特に面接で「貴社」と言わないように注意しましょう。

メールでのやり取り

メールは文字でのやり取りとなるため「貴社」を使います。

例えば「貴社の2025年新卒採用選考の応募書類を添付いたします。」のように、メール内容を書きます。

なお、音声入力でメールを作成する場合は、特に注意が必要です。

話し言葉として「御社」を覚えていると、つい文書でも「御社」と入力してしまうことがありますが、相手には文字で届くため、正しくは「貴社」を使う必要があります。

使い分けは「自分が話す・書く方法」ではなく、「相手がどのような形で受け取るか」によって決まります。

電話でのやり取り

電話でのやり取りは話し言葉となるため「〇月〇日〇時に御社に伺います」といったように「御社」を使います。

また、電話で相手の会社について話す際は、手短に伝えることが求められることから、会社名を繰り返すよりも「御社」を使うのが適切でしょう。

御社と貴社を間違えたときの対処法

御社と貴社の違いについて正しく理解していても、就活という緊張する場面では、つい間違えてしまうことがあります。

間違えたときには訂正することをおすすめしますが、このとき慌てずに対処することが大切です。

それでは、どのように訂正すれば良いのか、場面ごとの対処法を解説していきます。

履歴書やエントリーシートで間違えた場合

書類を提出する前には、誤りがないか見直しが欠かせません。

もし間違えたまま提出すると、間違えていることに加えて、見直しをしていないことも印象を悪くしてしまいます。

履歴書やエントリーシートに訂正箇所がある場合は、修正液や修正テープなどを用いて修正をするのではなく、新しい用紙に書き直しましょう。

また、ウェブサイトから提出する場合は、wordに貼り付けるなど、誤字脱字のチェックをしてから提出すると安心です。

面接で間違えた場合

面接で「御社」ではなく「貴社」と言ってしまっても、気づいた時点ですぐに訂正すれば問題ありません。

なお、志望動機を履歴書やエントリーシートと同じ内容で暗記している場合は、書面で使う「貴社」を口頭で使ってしまいがちなので、特に注意が必要です。

メールで御社と書いてしまった場合

メールを送信した後で間違いに気づいた場合は、改めて訂正をする必要はなく、そのままにしておいても問題はありません。

むしろ、志望企業には多くのメールや郵便物が届くことから、訂正の連絡は迷惑となるのでやめておきましょう。

面接の際、書類に間違えて記載した旨を謝罪し、訂正するのが良いです。

御社と貴社を間違えると選考に影響するか

御社と貴社を間違えたからといって、必ずしも選考で不利になるとは限りません。

面接で間違えた場合は、動じずに落ち着いて丁寧に訂正するなど、対処の仕方によってはプラスとなることも考えられます。

しかし、同じレベルの就活生が二人おり、どちらを採用するか迷った場合には、間違えたことが不採用の一因となるかもしれません。

また、つい面接で言ってしまった失敗よりも、事前に防ぎやすい応募書類の誤字脱字のほうが選考に影響しやすいため、御社や貴社の使い分けのみならず、ほかの誤字脱字がないかどうかもチェックしてから提出しましょう。

御社と貴社を使用するときの注意点

特に就職活動で「御社」と「貴社」を使用するときには、使い方の違いに加え、ほかにも気をつけなければならないことがあります。

ここからは「御社」や「貴社」を使用する際にどのような点に気をつけるべきなのか、注意点について詳しく見ていきましょう。

自己PRと志望動機は間違いやすい

自己PRや志望動機は、履歴書やエントリーシートに書くことが多い一方で、面接で話す機会もよくあります。

面接で話すときは「御社」を使いますが、書いた内容を思い出しながら話すと、つい書き言葉の「貴社」を口にしてしまうことがあるかもしれません。

先述のとおり、履歴書やエントリーシートは、紙でもWebサイトでも、どちらも書き言葉の「貴社」を使います。

面接では、履歴書やエントリーシートをもとに質問されることが多いため、書いた内容に関する質問を深く受けるケースも少なくありません。

しかし、面接官には文字ではなく言葉で伝えるため、文書で用いる「貴社」ではなく、「御社」を使うのが正しい表現です。

御社と貴社の違いを理解していない場合は、どの場面でも間違いやすいですが、一方で理解できているからこそ間違いやすいのが、自己PRと志望動機においての使い分けです。

そのため、理解できている方も十分に注意しましょう。

「様」は不要

「御社」や「貴社」には、「様」をつけることはありません。

就職活動では、失礼のないように「とにかく丁寧にしなければならない」という思いが強くなりがちです。

そのため「御社様」や「貴社様」のように「様」をつけるといった失敗例が見られます。

しかし「御社」も「貴社」も相手を敬う言葉であるため、「様」は必要ありません。

敬称を二つ重ねる表現は「敬称の重複」といい、一見丁寧に聞こえますが、日本語の文法としては誤った使い方です。

敬称の重複については、後ほど詳しく解説していきます。

一般企業以外では表現が異なる

「御社」や「貴社」は、主に一般企業に対して使う言葉です。

就職活動でさまざまな業種に応募する場合は、応募先に合わせて適切な呼び方を使い分ける必要があります。

以下の表は、代表的な組織ごとの話し言葉と書き言葉の例です。

組織の種類	話し言葉	書き言葉
銀行	御行（ぎょこう）	貴行（きこう）
信用金庫・労働金庫	御庫（みくら）・御金庫	貴庫（きこ）・貴金庫
病院・医院	御院（ごいん）	貴院（きいん）
官公庁	御省・御庁・御局・御所	貴省・貴庁・貴局・貴所
学校	御校（おんこう）	貴校（きこう）
大学	御学・御大学	貴学・貴大学
財団法人・社団法人・NPO	御法人・御団体	貴法人・貴団体
協会	御会・御協会	貴会・貴協会

応募先の組織に合わせて適切な敬称を使い、正しいマナーを心掛けましょう。

敬称の重複

「御社」も「貴社」も、相手を敬う敬称表現です。

そのため「殿」や「様」を付け加えると、敬称の重複となってしまい、誤った日本語となります。

例えば、書類の宛名に「御社様」と書いたり、面接で「貴社様」と言ったりするのは、よくある間違いです。

敬称の重複は、社会人であっても全員が正しく理解しているわけではなく、特に話し言葉では間違いに気づかれにくく、むしろ丁寧だと誤解されることもあります。

しかし、書面での敬称の重複は強い違和感を与え、記録としても残ってしまうため、より一層注意が必要です。

自分の会社の呼び方

相手に対して自分の会社を正しく呼ぶことは、社会人として大切なマナーです。

社会人になる前に、しっかりと使い分けを確認しておきましょう。

自分の会社を表す言葉には「弊社」と「当社」の2種類があります。

それぞれで使い方が異なり、社外に対してはへりくだった表現である「弊社」を使います。

一方、「当社」はへりくだりの必要がない場面で使用される表現で、主に社内や関連会社などの身内に対して使われます。

このように、社外には「弊社」、社内には「当社」といった具合に使い分けるのが基本です。

面接の時は「現職」または「前職」

自分の会社を社外の人に対して「弊社」と呼ぶのは、自分が会社の一社員として他社と接するときです。

会社の代表として「他社とやり取りする場面で使われる言葉」と考えると分かりやすいでしょう。

転職活動の面接では、現在の勤務先や以前の勤務先について質問されることが多いですが、このときは「弊社」を使いません。

面接では「現職」や「現在の職場」、または会社名・団体名をそのまま伝えます。

すでに退職している場合は「前職」と言うのが適切です。

営業や打ち合わせで他社を訪問したり、他社からの訪問者に対応したりするときは、自社を「弊社」と呼びますが、面接は仕事の訪問ではありません。

また、大学生の就職活動でアルバイト経験について聞かれた場合も、「弊社」や「当社」は使わないよう注意しましょう。

面接は仕事の場ではなくプライベートな訪問であるため、「弊社」や「当社」を使わないことを理解しておくことが大切です。

御社と貴社以外の違いも解説

「御社」や「貴社」のみならず、ほかにもさまざまな間違いやすいポイントがあります。

就職活動はもちろん、社会人として働き始めてからも混同しないよう、気をつけなければなりません。

このような間違いは、指摘をしてもらえれば気づきやすいですが、誰からも指摘されずに恥をかいてしまったり、失礼に当たったりすることもあります。

そのような事態を防ぐためにも、今のうちにしっかりとチェックしておきましょう。

「御中」と「様」の違い

「御中」と「様」は、メールや郵便物の宛名に付ける敬称です。

「様」は個人名に使う広く知られた敬称であり、一方で「御中」は企業や団体など個人以外の組織に対して使い、社会人はもちろん就職活動でも常識として知っておく必要があります。

それでは、具体的な使い方を見ていきましょう。

履歴書を郵送する場合は、宛名が「会社宛て」か「人事部宛て」かによって使い分けます。

会社宛て：株式会社〇〇御中 人事部宛て：株式会社〇〇　人事部御中

担当者名が指定されている場合は、個人名なので「様」を使います。

株式会社〇〇　人事部　鈴木様

また、会社や部署など個人以外の組織に送る場合は「御中」、特定の個人に送る場合は「様」を使う点を間違えないようにしましょう。

敬称の直前の宛名が「会社・団体か」あるいは「個人か」を判断の基準となります。

また、郵便物のみならず、送付状・請求書・領収書などにも適用されるため、正しく理解しておくことが大切です。

混同しやすい敬称

ビジネスシーンでよく使われる「御社」と「貴社」ですが、使い方を誤ると失礼になることがあります。 ここでは、正しい使い分けを確認しましょう

「御社」「貴社」が相手の会社に対する敬称であるのに対し、「弊社」と「当社」は自分の会社を指す言葉です。

・御社 … 主に話し言葉で使用される表現

・貴社 … 主に書き言葉で使用される表現

例えば、面接や商談といった口頭でのやり取りでは「御社」を、履歴書やビジネス文書、メールなど書面でのやり取りでは「貴社」を使うのが一般的です。

なお、自分の会社を指す「弊社」「当社」と混同しやすいため、誤って使わないよう注意が必要です。

銀行・病院・省庁などに使う敬称

銀行や病院、省庁、一般企業以外の組織に対しては、それぞれに適切な敬称があります。

銀行であれば「御行」や「貴行」、病院は「御院」や「貴院」、官庁では「貴省・貴庁」「御省・御庁」です。

このように、銀行・病院・官庁、さらには学校や財団法人、協会などによっても敬称が異なるため、就職活動や転職活動で一般企業以外に応募している人は、間違えないように気をつけましょう。

まとめ

本記事では「御社」と「貴社」の違いについて解説してきました。

また「御社」と「貴社」に関連し、間違えやすい敬称の重複や自分の会社の呼び方、一般企業以外の敬称についても併せてご紹介しました。

就職活動や転職活動では「御社」と「貴社」の違いを理解し、正しく使い分けることが大切です。

しかし「御社」と「貴社」を間違わないよう、この点にばかり神経を集中させてしまっては、自分の良さや本来の実力を発揮できなくなってしまうかもしれません。

もちろん、間違えるよりも正しく使えることが好ましいですが「御社」と「貴社」だけに気を取られることで、自分の熱意や魅力を伝えられなければ本末転倒です。

間違えたからといって即不採用というわけではないため、間違えた際には落ち着いて対処しましょう。

話し言葉と書き言葉であることが理解できれば、それほど難しいことではありません。

本記事を参考に「御社」と「貴社」を正しく使い分け、ぜひ就職活動や転職活動を成功させてください。