働く女性の半数以上が感じるキャリアの見えない壁 約6割がジャケットを「挑戦を支えるツール」と認識​

働く女性の半数以上が感じる"キャリアの見えない壁"
約6割がジャケットを「挑戦を支えるツール」と認識

2026.02.26

  • ファッション

3月8日の「国際女性デー」に際し、全国の働く女性1,003名を対象に「働く女性のキャリアと心理的障壁に関する実態調査」を実施しました。日本で初となる女性首相が誕生するなど女性活躍への期待が加速する一方で、実際のビジネスの現場では女性の半数以上が、依然として「ガラスの天井※」を実感していることが明らかにになりました。そういった心理的障壁を打破するべく行っている「セルフケア術」として、働く女性が実践するマインドセットや行動習慣の調査結果を公開。さらに、女性活躍ジャーナリストであり、ジェンダー平等の第一人者である白河桃子氏に、女性が内面から自信を育み、多様なリーダーシップを発揮するヒントを解説いただきます!

※「ガラスの天井」・・・主に女性のキャリアに関する議論で用いられてきた表現で、制度上は平等であっても、上位層への登用において見えにくい壁が存在すると感じられる状況を示す言葉です。本調査では、多様な人材が活躍できる環境について考える一環としてこの言葉を用いています。

キャリアの見えない障壁「ガラスの天井」
働く女性の半数以上が実感!

これまで働いてきた中で、「ガラスの天井」を感じたことがあるか尋ねたところ、55.4%(「強く感じる(13.9%)」「時々感じる(41.5%)」の合計)の女性が「ある」と回答しました。社会全体で女性活躍が推進されている一方で、実際にビジネスの場に身を置く女性の2人に1人以上が、自身のキャリアにおいて何らかの障壁を実感している実態が明らかになりました。

キャリアの見えない障壁「ガラスの天井」

キャリアアップ志向が高ければ高いほど
「ガラスの天井」を強く感じる傾向に

では、どのような人が「ガラスの天井」を感じやすいのでしょうか。

「仕事においてより大きな役割を担っていきたい」と考える働く女性は、「とてもそう思う(14.3%)」「ややそう思う(41.9%)」と、合計で56.2%になりました。

さらに、先ほどの質問「キャリアの中で『ガラスの天井』を感じたことがあるか」という質問と掛け合わせてみると、「とてもそう思う」人の91.0%、「ややそう思う」人の66.7%が「『ガラスの天井』を感じたことがある」と回答しています。仕事で大きな役割を担いたいと考えていればいるほど、「ガラスの天井」を強く感じている人が多い傾向が分かりました。

「ガラスの天井」を強く感じる傾向に

「ガラスの天井」を強く感じる傾向に

「壁」の正体はどこに?
4割以上が「待遇・賃金」で「ガラスの天井」を実感

「ガラスの天井」を感じたことがあると回答した人に、その具体的な場面をたずねたところ、「賃金・待遇(41.4%)」が最も多く、次いで「働き方への配慮や支援(33.2%)、「評価(29.0%)」、と続きました。主に、働き方への制度(待遇や支援)の不足から、キャリアの壁と認識していることが分かります。

4割以上が「待遇・賃金」で「ガラスの天井」を実感

管理職を目指したい人は約4割。
一方で挑戦を阻む心理的ブレーキも明らかに。

管理職を目指したいかどうかについても質問してみました。その結果は「積極的に目指したい」人が9.4%、「目指したいが現状ではハードルがある」人が27.8%、計37.2%に留まる結果に。

具体的に、管理職を考える上での不安・障壁として感じることを尋ねたところ、「責任の重さにプレッシャーを感じる(27.2%)」や「自分にリーダーとしての適性があるか不安(22.8%)」「スキルや経験が足りないと感じる(21.2%)」などの心理的障壁を挙げた人は、全体の58.6%にものぼりました。多くの女性にとって、自身の心理的なブレーキも挑戦をためらわせる要因の一部なっているようです。

約6割が抱える「心理的障壁」という心のブレーキ

約6割が抱える「心理的障壁」という心のブレーキ

今日から真似できる!
働く女性の自信やモチベーションを高めるセルフケア術

仕事で自信を保ちモチベーションを高めるために、普段からどのような工夫をしているのでしょうか。

まず、マインド面では「完璧を求め過ぎず、まず行動する(31.2%)」や「成長を小さなステップで捉える(24.7%)」など、特別なことではなく日々の小さな積み重ねで心を整える「セルフケア」を取り入れ、自己肯定感を育む工夫を凝らしています。行動面では、「仕事とプライベートの境界線を設計する(27.3%)」や自分の強み領域のスキルアップを継続する(20.7%)」といった、時間効率の工夫や積極的な学習行動を意識し実行していることがわかりました。

働く女性の自信やモチベーションを高めるセルフケア術

働く女性の自信やモチベーションを高めるセルフケア術

ジャケット着用がもたらす意識変化とは?
「集中力が高まる」「姿勢や所作が整う」

仕事をする上で気持ちを切り替えるための手段として、服装や身だしなみに関しても質問してみました。その結果、「かなり意識している」「ある程度意識している」の合計が66.9%と多くの女性が気持ちを切り替えるスイッチとして「服装・身だしなみ」を意識していることが判明しました。

ジャケット着用がもたらす意識変化とは?

さらに、「『ジャケット』がキャリアにおける様々な障壁を乗り越え、自信を持って挑戦するための『ツール』になり得ると思うか?」という質問に対しては、全体の62.8%もの女性が「非常にそう思う」もしくは「そう思う」と回答。装いが心持ちなど内面に与えるポジティブな影響が裏付けられたと言えます。ジャケットを着用することで得られる実感として、第一位が「気持ちが引き締まる(34.3%)」、第二位が「姿勢や所作が整う(25.3%)」などとなりました。

ジャケット着用がもたらす意識変化とは?

ジャケット着用がもたらす意識変化とは?

女性活躍ジャーナリスト・ジェンダー平等の第一人者 白河桃子氏が解説!
次世代リーダーの心理的障壁を緩めるセルフケアとは

今回の調査で明らかになったのは、女性の約2人に1人以上が感じている「ガラスの天井」。そして、「責任の重さにプレッシャーを感じる」、「自分にリーダーとしての適性があるか不安」といった心理的な障壁でした。全体の約6割もの女性が抱えるこれらの葛藤は、個人の資質の問題ではありません。

無意識のうちに自分自身にかけてしまう心理的ブレーキとその外し方、自信を後押しする「装い」の効用、そして多様なリーダーシップが求められるこれからの時代において企業や組織が見直すべきポイントなどを、長年、日本の女性労働環境を見つめ続けてきたジャーナリスト・白河桃子氏に解説いただきます!

では、改めて白河桃子先生のご紹介を。

ジャケット着用がもたらす意識変化とは?

ジャケジョ研究所 特任研究員
白河 桃子先生

昭和女子大学 客員教授、iU大学(情報経営イノベーション専門職大学)特任教授、千里金蘭大学 客員教授、ジャーナリスト、作家。東京生まれ。私立雙葉学園、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒業。中央大学ビジネススクール戦略経営研究科 専門職学位課程修了(MBA 取得)。

商社、外資系企業勤務を経て執筆活動に入る。2008年に中央大学教授の山田昌弘氏と『「婚活」時代』を上梓、 婚活ブームの火付け役に。内閣官房「働き方改革実現会議」内閣府男女共同参画局「男女共同参画会議専門調 査会」などを歴任。少子化、働き方改革、女性活躍、ジェンダー、ダイバーシティ、人的資本経営などをテーマとする。

【「ガラスの天井」の現在地】

―意欲ある女性ほど突き当たる、構造と心理の二重の壁―

日本はジェンダーギャップ指数が先進国の中で最下位です。このような厳しい環境の中で頑張っている日本の女性たちが、壁を感じるのは無理もありません。意欲を持って前に進もうとする人ほど壁にぶつかっている現状には、大きく3つの要因があります。

1つ目は「構造の問題」です。日本は男女役割分担意識が非常に強く、女性が家事・育児を疎かにすると批判されるため、ビジネスにおいて責任ある立場を引き受ける時に女性自身にためらいが生じます。

2つ目は「ステレオタイプ脅威」です。「家事・育児は女性の役割」や「女性はリーダーに向かない」というような巷の固定観念が、無意識に女性のパフォーマンスや自信を下げてしまうなどの影響を及ぼします。昨今では面と向かって言うような人は少ないと思いますが、「ステレオタイプ」のような無意識の偏見や思い込みにより意図せず誰かを傷つける「マイクロアグレッション」が、さりげなく繰り返され、ボディーブローのように効いてきてしまうのです。

3つ目は「女性の方が確実主義、慎重派であること」です。ある会社の調査で男性は求められる条件の6割があれば手をあげ、女性は100%条件を満たさないと手をあげない、という結果があります。このように女性は、より確実、着実を目指す傾向があり、責任感がある人ほど「今の自分では足りないのではないか」と障壁を感じてしまうのです。

【キャリアアップを阻む「心理的障壁」の正体】

―「ちゃんとやりたい」という責任感がブレーキ―

多くの女性が「責任の重さ」や「自信のなさ」といった心理的ブレーキをかけてしまう背景には、物理的な制約もあります。OECD(経済協力開発機構)のデータによると日本の女性は男性の5.5倍も無償労働時間(家事・育児)を担っているという結果がでています。日本では、男女役割分担における社会規範が未だに強いことから、女性自らが「そこは自分が引き受けなければいけない」と考えてしまいがちです。そのため、結婚や出産が具体化する以前から、将来の自分の時間的な配分において不安を持っています。ですから、キャリアプランの中にどうしても、結婚や出産に対する自らの負担を組み込まざるを得ません。また、女性の「仕事も家庭もちゃんとやりたい」という生真面目さが、かえって挑戦を躊躇させている側面もあります。

【今日「できたこと」を数える内面のセルフケア】

―幸せの指標「PERMA (パーマ)」を味方に、自分を肯定する習慣をー

ジャケジョ研究所の調査結果にある「成長を小さなステップで捉える」という姿勢。これは、心理学的に見ても非常に理にかなっています。幸せの指標について、米・ペンシルベニア大学心理学部教授のマーティン・セリグマン博士が提唱した「PERMA」という考え方がありますが、これはP(Positive Emotion:前向きな感情)、E(Engagement:没頭すること)、R(Relationships:豊かな関係)、M(Meaning:人生の意義)、A(Achievement:達成感)の5つの要素を指します。

一般的に、女性は自分に「100点満点」を求めてしまいがちですが、今日100%できなくても10%でも20%でも「できたこと」に目を向けて「達成感(A)」や「前向きな感情(P)」を得ることが大切です。「今日はこれができた」「明日はこれをやろう」とスモールステップで自分を肯定していく、完璧主義ではなく自分を褒めてあげる習慣を持つことが、困難な状況でもウェルビーイングを保っていく秘訣です。

【「マネージャー目線」を身につけると、景色が変わる】

ー管理職への不安を和らげる、視点の切り替え方ー

管理職になると、自分が結果を出せばいいという考えから、チーム全体で成果を出す思考へと切り替える必要があります。そういった管理職に必要な「マネージャー目線」は難しく感じられがちですが、実は日々のやり取りの中で十分に身につけていけるものです。たとえば、育児中の仕事について「育児との両立が不安」という自分の気持ちだけを捉え、考えるのではなく、「上司の目線から自分がどう映っているか」という具合に、視点を変えて立ち止まって考えてみる。そうした視点で考えること自体が、「マネージャー目線」の立派なトレーニングになります。復職面談や日常の対話でも役立ちますし、仕事の景色は少しずつ変わっていきます。

【装いが、仕事をスムーズにする】

ー期待役割を味方につける「ジャケット」という選択ー

服装を整えることは、単なるおしゃれというだけではなく、周囲とのコミュニケーションを円滑にする戦略的なツールでもあります。私にとって仕事にはジャケットが必須ですが、それはその場にいる人たちに信頼感を持ってもらい、仕事をスムーズに進めるための「身だしなみ」だからです。期待役割に沿った装いをするということは、やはり大切なことだと思います。

「自分はいま、こういう役割にいるから、それにふさわしい身なりをしよう」と行動することは、セルフブランディングでもあり、お客様に対して「この人なら信頼して仕事を任せられる」と伝える表現の一部なのだと思います。さらに、TPOに合った服装をするということは、自信にも繋がると思います。たとえば、「今日のファッション、ちょっと失敗したな」と感じる日は、なぜか一日中どこか自信が持てなくなってしまうこと、ありますよね。装いは誰かに見せるためというよりも、自分が自信を持って自分らしくいるためのもの。こうした「外側から整える」ことが、内面的な自信を支える確かな力になり得ます。

【女性リーダーが必要な理由は、理想論や建前ではない】

ー同質性のリスクと、投資の世界で求められる「多様性」という武器ー

今でも日本の伝統的な会社を見ると、同質性が非常に高いと感じます。同じ会社に長くいて、同じ年次で昇進して、男性が多い。そこに「日本人である」という同質性も重なってくるので、どうしても視点が似通ってしまうんですね。この同質性は、一人一人は優秀なのに集団で決定を誤る「集団浅慮」を引き起こしやすく、変化に弱いというビジネスリスクを孕んでいます。多様性があって、イノベーションが生まれて、変化に強い企業かどうか。これは投資の世界でも非常に重視されています。その判断軸の一つが「ジェンダー投資」です。2026年からは役員の20%が女性でないと選任案に反対すると表明している助言会社も現れています。ジェンダー平等は、女性のためだけの話ではなく、企業がこれからも成長し続けるための、現実的な経営戦略だといえるでしょう。

【働く女性へのメッセージ】

ーシスターフッドで繋がり、自分らしいリーダー像を見つけてくださいー

今後、女性のリーダーが増えていくことにより、組織においても社会においても、みんなが生きやすくなると信じています。まずは、今リーダーを引き受けようという人たちが居たら応援してほしいです。そして、今は「自分にはリーダーなんてとても無理」と思っている人にも、いつかリーダーとしての役割が否応なしに来る時があります。その時はぜひ閉じこもらず、外に開いていってください。

今はリーダー像もだいぶ変わっています。昔ながらの「グイグイ引っ張る型」ではなく、部下を支援してチームを底上げする「女神型リーダーシップ」のような協調型が求められていますので、従来型のリーダーになろうとしなくていいと認知を変えていくことが大切です。

女性が連帯して社会的な問題に取り組む、またはお互いを尊重し合う関係を「シスターフッド」と言いますが、色々な先輩たちに会いに行き、繋がって、様々な話を聞いてほしいと思っています。自分の会社の中にロールモデルがいなくても、外に出て繋がることで「こんなリーダーがいたんだ」という発見があるはずです。ステレオタイプではない、あなたらしいリーダー像をぜひ見つけてください。

―白河 桃子先生、ありがとうございました!

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